急におっぱい(乳房)がかゆくなった、妊娠していないのに変な汁が出るようになった場合、多くの方は不安に感じたり、病気を疑ったりするでしょう。

 

多くの場合は過度な心配は無用ですが、該当する病気が存在するのも事実であるため、当該症状の原因についてしっかりと知っておいてください。

 

 

基本的に問題はない

 

乳房から出る透明な液は、乳腺細胞からの分泌液です。血液のまじっていない場合には、悪性を疑わせるものではないと思われます。

 

なお、かゆく汁が出る場合には、乳腺症乳管内乳頭腫などの可能性があります。どちらにしても婦人科を受診し、分泌液に悪性細胞がないかを調べる乳がん検診などを受けておきましょう。

 

また、高プロラクチン血症といって、プロラクチンという乳汁を分泌させるホルモン値が高くなると、妊娠していないのに乳汁が出ることがあります。

 

この場合には、婦人科で血液検査を受ければ、すぐに診断がつきます。 また、分泌液は放っておくと乳輪周囲に湿疹を起こします。乳頭のかゆみはそのためと考えられます。

 

 

考えられる主な病気

 

透明な分泌液が出る乳房の病気には、「高プロラクチン血症」「乳管内乳頭腫」、「乳腺症」などが考えられます。

 

高プロラクチン血症

プロラクチンとは、乳汁の分泌を促すホルモンのことで、これが過剰にあることで妊娠していないにも関わらず乳汁が出る場合があります。

高プロラクチン血症の原因は、腫瘍がある、下垂体の障害、甲状腺機能低下、避妊薬の服用によるホルモンバランスの乱れ、慢性的な乳腺への刺激(性行為など)など多岐に渡ります。

多くは無月経または生理不順が同時に起こるため、乳汁とともに無月経・生理不順の場合には高プロラクチン血症の可能性が高いと言えます。

 

 

●乳管内乳頭腫

乳管内乳頭腫は、おもに乳頭の真下にある比較的太い乳管内に発生する良性の腫瘍です。また、末梢の細い乳管内で発生することがあり、この場合は悪性化する可能性があるので注意が必要。

中年女性に多くみられ、乳頭から粘り気の少ない水状の分泌液や血のまじった分泌液が出て、下着に付着して気づくことが多いのが実情です。

乳頭や乳房にしこりを感じることは少なく、痛みもありません。ただ、乳がんとの判別が困難な場合があり、診断と治療をかねて、腫瘍を切除手術をして病理組織検査を行います。

 

乳腺症

乳腺症は、乳房に大小さまざまな固いしこりが数多くでき、しこりの境界がはっきりしていないのが特徴です。中年女性に多くみられ、特に閉経前に多く発生し、閉経後には少なくなります。乳頭からは水状や乳汁状、血のまじったものといった分泌液がみられることがあります。

しこりは月経前に大きくなり月経が終わると小さくなります。痛みをともなうことが多く、押すと痛みは強まります。この痛みも月経前に強くなり、月経開始とともにやわらぎます。

乳腺症の場合は、痛みがひどくなければ特に治療の必要はありません。痛みの激しいときは、ホルモン剤や漢方薬などの薬物療法を行います。ただ、薬物療法でも効果がなく、さまざまな検査を行っても乳がんの疑いを否定できない場合は、切除手術をして病理組織検査を行います。

 

 

その他に考えられる病気(症状)

 

生理的な液漏れ

女性の体は非常に繊細であり、子供を作る(育てる)機能が備わっているため、時としてホルモンが活性化することで、生理的に乳汁が出ることがあります。多くは乳汁の色は白色や黄色とさまざまで、両側の乳頭から出ることがほとんどです。

気持ちが高ぶった時にだけ出る、乳頭を強くつまんだ時にだけ出るという場合には、正常な生理現象の可能性が高いと言えます。この場合には長期化せず、たいてい自然になくなります。また、多くは10代や20代の若い女性にみられます。

 

乳腺・乳管の損傷・感染

外傷や授乳などにより、乳腺・乳管が損傷することで白色や黄色をした乳汁が出る場合があります。また、それら損傷によって感染が起こり、緑色や黒色、血の混じった白色の乳汁が出ることがあります。

感染を起こしている場合には、乳房が赤く腫れ熱を持つため、その症状が現れる場合には感染症が疑われます。

 

 

自分で行う改善法

 

おっぱいから汁が出る場合には、自律神経の異常によるホルモンバランスの乱れが原因の多くを占めています。それゆえ、まずは自律神経を整えることが大切です。以下に挙げることを実践し、自律神経の乱れを改善させていきましょう。

 

●心身をリラックスさせる

心地の良い音楽を聴いたり、ぬるま湯にゆったりと浸かったり、アロマセラピーを取り入れるなど、意識的に自分がリラックスできることを実践してみましょう。自律神経の乱れの原因の多くはストレスであるため、ストレスを取り除くことが非常に大切です。

 

●一定かつ十分な睡眠時間を確保する

睡眠時間とストレスは密接な関係があり、睡眠不足はストレスの軽減を阻害し、ストレスを受けやすい体に変化させてしまいます。

それゆえ、毎日十分な睡眠時間を確保してください。また、23時に布団に入るなど、毎日決まった時間に就寝することで、生活リズム(就寝リズム)が整い、より効果的に自律神経を整えることができます。

 

●適度な運動をする

運動はストレス発散に非常に効果的です。朝や夕方、夜など気持ちの良い時間にウォーキングなど軽い運動を行うことで、気分がスッキリして精神的な充実感を得ることができます。

運動不足はホルモンバランスの乱れも引き起こしてしまうため、積極的に運動を取り入れてください。

 

●食事を見直す

食事は生命維持のために不可欠なものですが、特に女性は不摂生な食事により影響を受けやすいものです。朝・昼・夜と1日3食の食事を取り入れ、なおかつ神経の働きの緊張を鎮めイライラを抑える効果のある「カルシウム」や「ビタミンB」、「ビタミンC」を積極に摂取していきましょう。

カルシウム
牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品、めざし・干しえび・わかさぎなどの小魚、ほうれん草・小松菜・チンゲン菜などの野菜

ビタミンB
胚芽米・玄米などの米類、豚肉、レバー、サバ・ししゃも・イワシなどの魚類、アサリ・牡蠣・しじみなどの貝類、納豆

ビタミンC
ピーマン・パセリ・モロヘイヤ・ブロッコリーなどの野菜、レモン・キウイ・いつごなどの果実、ハム・ベーコンなど肉加工食品

 

●漢方を取り入れる

自律神経の改善には、「黄連(おうれん)」、「抑肝散(よくかんさん)」、「芍薬(しゃくやく)」などの漢方も効果的です。しかしながら、漢方に頼りすぎて睡眠や運動、食事など生活の改善を怠ってはいけません。

 

 

しこりがある場合は乳がん検診を

 

乳房の病気のほとんどは乳腺の病気です。乳腺は、ホルモンの周期、妊娠、授乳などに合わせて変化しますから、それだけ病気を起こしやすいのかもしれません。

 

乳房の病気でいちばん恐いのは、もちろん乳がんです。乳房の異常、特にしこりがあると、乳がんではないかと必要以上に恐がる人がいますが、しこりがあったとしてもがんとは限りません。乳腺症、乳腺炎、乳腺線維腺腫などの病気もしこりができますが、これらはそれほど恐い病気ではありません。

 

乳がんのしこりの特徴としては、痛みがなく、固く表面はでこぼこしていて、進行するとしこりは大きくなります。また、乳房の一部がえくぼのようにへこんだり、左右の乳頭の位置がずれたり、乳頭から血液や血液のまじった分泌液がでることがあります。

 

詳しくは、「自分で調べる乳がん検査|しこり・皮膚変化・分泌液で判断を」をご覧ください。

 

 

心配であれば一度受診を!

 

妊娠していないにも関わらず自然と乳汁が出る場合の多くはホルモンの活性化によるものです。特に、10代や20代前半の若い女性は、気持ちの高ぶりや生活の変化などにより、容易にホルモンバランスが変動するため、乳汁が出ることは意外にも多くあります。

 

この場合には一過性で時間の経過とともになくなり、かゆみは乳汁の影響で生じているため、かゆみも次第に落ち着きます。

 

20代後半~30代・40代の女性は、ある程度ホルモンバランスの変動は小さいため、ホルモンによる自然発生ではなく、「高プロラクチン血症」「乳管内乳頭腫」「乳腺症」などの病気の可能が考えられます。

 

ただし、これらは深刻な病気ではなく、自然に治ることも多々あるため、そこまで過度に心配する必要はありません。しかしながら、薬物治療を要する場合があり、さらに不安を抱えた状態では自律神経が乱れ、生理不順や精神病へ繋がることもあるため、まずは一度、最寄りの婦人科に受診してください。

 

なお、乳房から出る汁の色には、透明や白色、黄色、赤色、茶褐色、黒色など、さまざまな色調がありますが、この色の違いによってある程度、病気を鑑別することができます。詳しくは以下のページをご覧ください。