今回は、生理が止まらない場合に考えられる原因や病気、その対処法について詳しく説明していきたいと思います。生理というのは子どもを産むための準備でもあり、女性にとって非常に大切です。

 

体調に左右されやすく、特にホルモンバランスが整っていない10代の中学生・高校生・大学生のトラブルは多いものです。ただ、ホルモンバランスの影響だけでなく病気の可能性も否定できないため、心配であれば少しでも早く婦人科へ受診することをお勧めします。

 

 

生理が止まらないのは「過長月経」

 

生理(月経)というのは3日~7日程度が通常です。これが7日以上続く場合を「過長月経」と言い、過長月経には2つのタイプが存在します。

 

器質性過長月経

子宮や卵巣などの生殖機能に疾患がある場合に該当します。

 

機能性過長月経

子宮や卵巣などの生殖機能に異常がない場合に該当します。

 

要するに、病気による過長月経を「器質性過長月経」、ストレスやホルモンバランスが原因の過長月経を「機能性過長月経」と認識してください。

 

 

過長月経の原因とは

 

過長月経は、さまざまな原因によって起こります。病気に関しても記載しますが、女性の体は繊細であるため過度な心配は不要。ただし、過長月経が何か月も続く場合には迷わず婦人科に受診しましょう。

 

■ホルモンバランスの乱れ

最も大きな原因となるのがホルモンバランスの乱れです。女性の体は繊細であるため、ストレスや体調不良などによってホルモンバランスは容易に崩れてしまいます。茶色い血黒い血が続く場合のほとんどは、ホルモンバランスの乱れが原因です。

 

生理不順によるもの

生理不順によって、たとえば2ヶ月や3ヶ月生理が遅れた場合には、その分の経血が一度に排出されるため、生理の血の量(経血量)が多く、長引くことがあります。

 

膣周辺の筋力の低下

経血は子宮が収縮されることで排出されます。膣周辺の筋力が低下している場合には、子宮の収縮運動が衰え、スムーズに経血を排出することが出来ません。常に過長月経が起こり、経血量が少ない場合には、膣周辺の筋力が衰えている可能性があります。

 

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮筋層にコブ状の腫瘍が出来る病気で、基本的に腫瘍は良性であるため、5cm以上に肥大化していなければ放置しても問題はありません。また、女性の約30%は大小関わらず子宮に腫瘍があるため、過度な心配は必要ありません。なお、子宮筋腫が原因である場合には、経血量が多くなる傾向にあります。

 

子宮内膜症

子宮内膜症は20代~30代の女性に多い病気で、これにより過長月経になることがあります。生理期間中、常に強い生理痛や吐き気が伴う場合には子宮内膜症の可能性が高いと言えます。しかしながら、過長月経が常に起こらない場合には過度に心配する必要はありません。

生理は問題なく、生理痛や吐き気がある場合はプロスタグランジンというホルモンが主に影響しています。詳しくは「生理痛(腹痛・腰痛・頭痛)に伴う「吐き気」の原因と緩和法」をお読みください。

 

子宮内膜ポリープ

子宮内膜ポリープは、子宮内膜から発生したキノコ状の腫瘍のことです。生理期間以外に出血(不正出血)がみられる場合には、子宮内膜ポリープの疑いがあります。ポリープの大きさは1cm~10cmと様々ですが、ほとんどが良性であるため早急な対処が必要というわけではありません。しかしながら、不妊の原因となりえるため早期摘出が最善です。

 

 

ホルモンバランスの乱れチェック

 

過長月経が初めての方、または不定期に起こる(毎回ではない)という方の多くは”ホルモンバランスの乱れ”が原因です。特に10代・20代の若い女性の90%はストレスや生活習慣の乱れから生じます。

  • 悩みを抱えている
  • ストレスがある
  • バランスの悪い食事
  • 全く運動していない
  • 睡眠不足・睡眠過多
  • 過度なダイエット

 

これらの項目に2つ以上該当する場合には、ホルモンバランスが崩れている可能性があります。何度も言いますが、女性の体は非常に繊細であるため、容易にホルモンバランスが崩れてしまいます。

過長月経が初めて、または不定期に起こるという方は、まずは、出来る限りストレスを取り除き、規則正しい生活スタイルを築くようにしていきましょう。

 

 

ホルモンバランスを整える生活習慣

 

ホルモンバランスを整えるためには、「睡眠」「食事」「運動」など、生活の改善が先決です。WHOの基準において、日本人の90%以上が何かしらの生活習慣の改善が必要と言われています。

生活習慣を改善することで、ホルモンバランスの乱れを改善できるだけでなく、さまざまな病気の予防にも繋がるため、積極的に行っていきましょう。

 

■睡眠不足の改善

睡眠中にはさまざまなホルモンが分泌され、睡眠の質が高いほどホルモンの分泌量が増加します。十分な睡眠は体や脳の疲れを休めるだけでなく、心の癒し効果もあるため、積極的に睡眠不足の改善を図ってください。

ホルモンの多くは睡眠開始から3時間に分泌されるため、勉強や仕事が忙しく、どうしても十分な睡眠がとれないという方は、眠り始めの3時間の質を高めるために、寝る前にアロマや半身浴などをして、リラックスした状態で布団に入るようにしてください。

 

■偏った食生活の改善

ファストフードや肉中心の食事を続けていると徐々にホルモンバランスが崩れていきます。毎日、バランス良く食べることが理想ですが、それが難しい場合には野菜を一品加えましょう。コンビニのサラダでも構いません。

可能なら、女性ホルモンと同様の働きをする大豆イソフラボン(納豆や豆腐など)、女性ホルモンの分泌を促すビタミンB6(魚、レバー、ナッツ類など)やビタミンE(かぼちゃ、アボガドなど)を積極的に摂取しましょう。

 

■運動不足の解消

運動は何もダイエットや筋力をつけるだけでなく、精神の安定化(自律神経の活性化)を促しましょう。ストレスを感じている時や不安・悩みを抱えている時には、自律神経が乱れ、ホルモンバランスが崩れてしまいます。

気持ちが乗らない状態で運動しても効果はありませんので、やりたい時にやる!という感じで問題ありません。人が心地よく感じる時間帯は「早朝」・「夕方」・「夜」ですので、ウォーキングなど適度な運動をこれらの時間帯に行えば、さらに効果が高まります。

 

■喫煙・アルコール摂取の制限

タバコは血行を悪くし卵巣の働きを妨げます。また、お酒を大量に摂取すると(ビール2杯以上)、アルコールを分解するために多くのエネルギーを使い、さらに睡眠の質が低くなることで自律神経が乱れてしまいます。禁煙・禁酒が難しいという方は、少しずつ量を減らしていきましょう。それも難しい方は、睡眠・食生活・運動など上記の改善項目を積極的に行っていきましょう。

 

 

長引く場合は迷わず受診を!

 

過長月経が毎回起こるという場合、「子宮筋腫」、「子宮内膜症」、「子宮内膜ポリープ」などの病気が考えられます。過長月経が3回以上連続して起こる場合には、迷わず婦人科に受診してください。

 

なお、妊娠の可能性がある人、妊娠希望の人は過長月経が初めてという場合でも一度受診するように。病気による不妊の可能性は否定できませんし、病気でなくてもホルモンバランスの乱れによって妊娠確率が極端に下がった状態であるため、早期改善が不可欠です。

 

婦人科での診察や処方

診察や検査の内容によって、生理中でも受けられる場合と、生理を避けなければいけない場合がありますが、過長月経の場合は生理中でも受診可能です。

 

婦人科での診察

診察は主に「問診」の後に「内診」または「超音波」の過程で行われ、場合によっては「血液検査」が行われます。内診というのは、膣の中の状態を医師が指で確認する診察のことです。超音波は、特殊な機械を用いて膣の中、もしくは腹部上から子宮や卵巣の状態を確認する診察のことです。

内診が怖い・恥ずかしいという方もいるでしょうが、その場合には腹部上からの超音波のみをお願いすれば、そのように配慮してくれるので心配はありません。

 

問診問診とは口頭による診察のことです。生理周期や生理期間、経血の量、腹痛などの症状などが聞かれます。基礎体温表をとっている方はまとめておきましょう。なくても問題ありません。
触診触診とは膣内の診察のことです。医師が手袋をはめ、指を膣内に入れ、子宮・卵巣・膣の腫れや硬さ、弾力などを診察します。触診は診断精度が高いため、通常は行われます。
超音波超音波エコーとは、超音波による画像診断のことで、腹部上から超音波をあてる方法と、膣内に器具を入れて体内から写す場合の2種類あります。子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープなどの特定のために行われますが、診断精度はそれほど高くはありません。
血液検査主に子宮内膜症を特定するために、補助的に血液中のCA-125の値を調べる血液検査が行われます。診断精度はそれほど高くはなく、触診や超音波エコーでも完全に特定できない場合に行われます。

 

処方されるもの

臓器器官の機能低下による無排卵、黄体機能の低下、ホルモンバランスの乱れによる過長月経に対しては、まず経過観察をし、ひどい場合に漢方やホルモン剤が処方されます。ホルモン剤は、多少なりとも副作用はあるものの、短期間で改善できる場合が多いため、生活習慣の改善と共に用量・用法を守って服用してください。

病気の場合には、原因となる病気を改善する薬が処方されます。病気の種類や進行具合によっては手術を必要とする場合もありますが、簡易的な手術なので、過度に心配する必要はありません。

 

 

過長月経の治療法

 

過長月経の治療法は、主に薬物によるもので、上述したようにホルモンバランスなどが影響している場合にはピルなどのホルモン剤、病気が関係している場合には原因となる病気に応じた薬を用いて治療を行っています。

 

病気が関係していない場合

生理が1週間以上続いていても、必ずしもすぐにホルモン剤などを用いた薬物治療を行うわけではなく、基本的には次回の生理まで(生理が終わるまで)経過観察します。そして、目安として生理が3周期にわたって過長月経の状態が続く場合に、漢方薬やホルモン剤などを用いて月経周期や出血量を整えていきます。

なお、病気が関与しない場合の過長月経では、ストレスや不規則な生活によるホルモンバランスの乱れ、無排卵月経、黄体機能不全が主な原因ですので、それぞれに応じた治療を行っていきます。

 

<ホルモンバランスの乱れ>

ストレスや不規則な生活によるホルモンバランスの乱れが原因と考えられる場合、まずは生活習慣を指導し、患者さん自身に生活習慣の改善を行ってもらいます。

無排卵や黄体機能不全ではないので、薬物による積極的な治療は必要なく、状態に応じて当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や十全大補湯(じょうぜんだいほとう)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、温経湯(うんけいとう)などの漢方によって改善を図ります。

 

<無排卵月経>

視床下部や脳下垂体、卵巣などの女性ホルモンの分泌に関係のある器官、何らかのトラブルがあって無排卵(排卵がこない)になっている場合、排卵を強制的に起こしてあげる必要がありますので、ホルモン剤をベースに「排卵誘発剤」を用いて改善を図ります。

無排卵月経では、クロミッドと呼ばれる口から服用する排卵誘発剤が用いられ、これを生理の5日目より5日間にわたって服用する方法が一般的です。また、エストロゲンとプロゲステロンの2つのホルモン剤を投与する「カウフマン療法」と並行する場合もあります。

 

<黄体機能不全>

黄体機能が低下または機能していない場合には、排卵誘発剤やホルモン剤による治療を行います。黄体機能不全の治療に用いられる薬には、クロミッドやhMG-hCG、黄体ホルモン剤などがあり、状態によって使い分けられます。

 

■クロミフェン(クロミッド)療法

排卵月経での治療と同じように、生理開始5日目より5日間にわたってクロミッドを服用します。クロミッドによって血中ゴナドトロピン(FSH)が上昇することで、排卵の発育が促進されます。

 

■ゴナドトロピン療法(hMG-hCG療法)

ゴナドトロピン療法は、クロミッドの効果がない場合に選択される療法で、生理開始日から3~5日目よりhMG製剤を筋肉注射し、卵胞が成熟したのを確認した後にhCG製剤に切り替えます。

 

■黄体ホルモン補充療法

また、黄体ホルモンを直接補充する療法もあります。天然型黄体ホルモンを基礎体温の高温期3日目より連日7~10日間(筋肉注射)投与する場合と、合成黄体ホルモンを連日7~10日間(内服)する場合の2通りあり、黄体ホルモンを直接補充することで、黄体機能の改善を図ります。

 

病気が関係している場合

病気が関係している過長月経に対しては、原因となる病気の治療を行い、病気が治ることで過長月経も改善されます。過長月経の原因となる病気には、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮内膜ポリープなどがありますが、基本的には漢方やホルモン剤を使用し、病状によっては手術が必要になることもあります。

 

<子宮筋腫>

子宮筋腫では、過長月経のほかに経血量が多くなる過多月経、さらに激しい生理痛に襲われるのが一般的なので、症状に伴って漢方やホルモン剤のほか、鉄剤や鎮痛剤も処方されます。

 

■Gn-RH作動薬療法

Gn-RH作動薬療法は、黄体ホルモンと卵胞刺激ホルモンの分泌を抑制し、生理を人為的に留めてしまう(休ませる)療法で、現在治療に用いられるものには点鼻薬と注射剤の2つのタイプがあります。

点鼻薬では、酢酸ブセレリンや酢酸ナファレリンを生理開始1~2日目より毎日2~3回(薬剤による)鼻からスプレーし、注射では、酢酸ブセレリンや酢酸リュープロレリン、酢酸ゴセレリンを生理開始1~5日目から4週間に1回皮下注射を行います。

 

■手術療法(保存的また根治)

薬物療法で効果がみられない場合や、筋腫がかなり大きい場合には、手術によって外科的に筋腫を取り除きます。手術法としては、最小限の傷で済む「腹腔鏡手術」、お腹を切る「開腹手術」、根治(完全に治す)ために「子宮全摘出術」が行われる場合もあります。

 

■漢方薬

子宮筋腫に激しい生理痛などの症状が現れている時には、漢方薬も併せて用いることがあります。たとえば子宮筋腫の主な症状である激しい生理痛に対しては、心身を安定にしたり、血の巡りを良くする加味逍遥散や当帰芍薬散、桂枝茯苓丸などの漢方薬を用いて補佐的に症状の緩和を図ります。

 

<子宮内膜症>

子宮内膜症の治療法には、Gn-RH作動薬療法、ダナゾール療法、ピルによるホルモン療法、外科的手術などがあります。また、子宮内膜症を発症すると激しい生理痛を伴うのが一般的なので、必要に応じて生理痛を抑えるための鎮痛剤や漢方薬が処方されます。

 

■Gn-RH作動薬療法

子宮筋腫の治療と同様に、点鼻薬または注射剤を用いて治療を行います。点鼻薬では、酢酸ブセレリンや酢酸ナファレリンを生理開始1~2日目より毎日2~3回(薬剤による)鼻からスプレーし、注射では、酢酸ブセレリンや酢酸リュープロレリン、酢酸ゴセレリンを生理開始1~5日目から4週間に1回皮下注射を行います。

 

■ダナゾール療法

ダナゾールは、脳や卵巣に直接的に働きかけることによって、女性ホルモンの分泌量を抑え、生理を人為的に止めてしまう療法です。生理開始3~5日目より4ヶ月間、連続で経口投与します。

 

■ピル(主に低用量)

ピルは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンが含まれた錠剤で、毎日少量ずつ飲むことによって、女性ホルモンの分泌を抑えます。生理をコントロールするものなので、飲み忘れが続くと生理がきてしまい、それに伴って治療効果がなくなってしまいます。毎日しっかりと飲むという強い意志を持って治療に臨まなければいけません。

 

■漢方薬

症状によって処方される漢方薬は異なりますが、激しい生理痛を伴う場合には、心身を安定にしたり、血の巡りを良くする加味逍遥散や当帰芍薬散、桂枝茯苓丸などを服用します。

 

■手術療法(保存的また根治)

Gn-RH作動薬療法やダナゾール療法、ピルなどによる効果がみられない場合には、外科的手術によって治療を行います。治療には、主に腹腔鏡手術と開腹手術などがありますが、いずれも再発の可能性がありますので根治治療とはなりません。

なお、妊娠・出産を望まない方や、子宮内膜症の症状が著しく激しい方には、「子宮全摘出手術」が選択されます。子宮をすべて取り除くことで再発の可能性がなくなります。

 

<子宮内膜ポリープ>

子宮内膜ポリープは、子宮内膜にできるキノコ状の柔らかい突起のことで、薬物治療による効果はありません。そのため、手術によってポリープの切除を行いますが、子宮内に内視鏡(子宮鏡)を入れて切除する手法で、たいてい10~15分の簡単な手術です。

 

 

さいごに

 

過長月経の原因のほとんどはホルモンバランスの乱れによるものです。特に10代の中学生や高校生に多く、病気を懸念して、さらにバランスが崩れるという悪循環に陥ってしまいます。

 

もちろん、病気の可能性も否定できませんが、まずはストレス発散と生活習慣の改善に取り組んでいってください。もしくは、病院に行かずに自力で解決したい場合には、過少月経・過多月経の改善に効果的な栄養素を含むサプリメントを活用するのも良いでしょう。

 

ただし、不正出血や生理不順が伴う場合や、ひどい貧血などにより生活に支障がでている場合には、少しでも早く婦人科に受診するようにしてください。また、心配しすぎるのも良くないため、不安であれば一度受診することをお勧めします。

 

なお、近年では過度なダイエットが影響して、過長月経や生理不順など、いわゆる「月経異常」になる方が多くいらっしゃいます。心当たりのある方は、以下のページをお読みください。