ご存知のように血管には、心臓から出る「動脈」と呼ばれる血管と末梢の臓器や組織から心臓に帰ってくる「静脈」と呼ばれる血管があります。

 

成人男性では、1日に約5リットル、女性では約4リットルの血液がポンプである心臓によって全身に運ばれています。血管は、私たちの生命を維持していくための大切なライフラインの働きをしているわけです。

 

 

血管は内膜・中膜・外膜の三層構造になっている

 

●血管の長さはなんと9万km、地球を2周と4分の1周もしてしまう

心臓から出る血管は、大動脈の1本だけですが、その後分岐して分配動脈といわれる動脈となり、さらに、小動脈、細動脈と分岐しつつ細くなっていきます。細動脈は、さらに分岐して臓器・組織の中でトータル93億本もの毛細血管となります。

 

人間の体に張りめぐらされている血管を、すべてつなぎ合わせると、なんと9万km、地球を2周と4分の1周もしてしまうのです。

 

血管の構造は、動脈と静脈(静脈には逆流を防ぐ静脈弁がある)で異なり、また、太さによって異なりますが、基本的には血管の内側を覆っている「内皮細胞」を含む「内膜」と平滑筋細胞からなる「中膜」、そして一番外側にある「外膜」からなっています。

 

内皮細胞には、血管の内壁を柔らかくしたり、血液が付着するのを防いだり、血液が漏れ出さないようにする働きがあると同時に、血管の病気が出やすいデリケートな部分でもあります。中膜は、平滑筋という筋肉でできているので、強い血圧にも破裂しないで、耐えられるようになっています。

 

大動脈の太さは、10円玉くらいで、最も細い毛細血管は1000分の1mmにまでなり、赤血球がやっと通れる太さです。

 

●動脈硬化の起きた血管はどういう状態なのでしょうか?

動脈硬化のほとんどは、粥状(じゅくじょう)動脈硬化だといわれていますが、これは、動脈壁の内膜に粥状の固まりができるものです。その粥状の固まりを、アテローム(粥種)と呼んでいるので、別名「アテローム性動脈硬化」ともいわれています。

 

アテロームはなぜできるのでしょうか?アテロームは、血管壁の内膜に、血液中を流れる悪玉コレステロールのLDLが入り込むことでできてしまうのです。LDLは比重が小さく、サイズも小さいため、簡単に内膜に入り込むことができてしまうのです。

 

 

マクロファージから泡沫(ほうまつ)細胞へ

 

もう少し、詳しく見てみましょう。内膜の中で、もっとも内側の内皮細胞というところに入り込んだLDLは、フリーラジカルなどで酸化され、「酸化LDL」という形になります。

 

そして、体内のお掃除当番である「マクロファージ」が登場して、「酸化LDL」を有害物質として識別して、次々に退治するために食べていってしまうのです。

 

マクロファージは、お腹いっぱいになるまで酸化LDLを食べて、自らの中をコレステロールでいっぱいにします。その結果、できあがるのが、コレステロールがびっしりと詰まったマクロファージの成れの果て、「泡沫(ほうまつ)細胞」と呼ばれるものです。

 

その泡沫細胞が一堂に集まったのがアテロームというわけです。アテロームができると、血管壁が厚くなって血管内部が狭くなります。当然、血流も悪くなりますし、血栓などが詰まりやすくなります。

 

心臓の血管で詰まると心筋梗塞や狭心症に、脳で詰まると脳梗塞などを発症します。また、血管そのものも硬くなり、もろくなって破裂してしまう危険性もでてきます。