赤ちゃん(新生児)はミルクによって度々嘔吐することがありますが、実は授乳による嘔吐だけでなく、病気の原因も考えられます。

 

赤ちゃんが吐く原因となる病気は実にさまざまありますので、ここではその病気の種類と、悪化させないための対処法についてご紹介したいと思います。

 

 

病院に行くか決める

 

そのまま家で様子を見る

●吐いていないときは、比較的元気。
●軽い吐き気程度で、他の状態に変わった様子はない。

 

診療時間内に受診を

●ひんぱんに吐く。
●授乳後に勢いよく吐く。
●1日に何度も吐くが、食欲があって水分もとれる。
●秋から冬の時期、吐いて白い下痢もしている。

 

診療時間外でも受診を

●立て続けに吐いて、ぐったりしている。
●青ざめてきた。
●以前に「腸重積症」と診断されたことがあり、同じ症状が見られる。

 

救急車を呼んででも大至急病院へ

●急に泣き、治まってもしばらくするとまた激しく泣き、ぐったりしている。

●激しく吐き、高熱、下痢も起こし、水分がとれずにぐったりしている。

 

 

こんな病気かも

 

赤ちゃん(新生児)が嘔吐する原因となる病気はさまざまです。以下に代表的な病気の種類を列挙しますので、症状や原因、対処法などしっかり把握しておきましょう。

 

吐乳・溢乳

症状

授乳直後にミルクを吐く

かかりやすい月齢:2~3カ月ごろまで

 

原因

満腹中枢が未熟なためミルクを飲みすぎて吐いたり、授乳のときに空気もいっしょに飲んでしまい、授乳直後にげっぷとともにミルクを吐く状態で、病気ではありません。

 

予防・悪化させないためのケア

授乳後は立て抱きにして背中をトントンし、げっぷを出させてから寝かせましょう。

 

先天性噴門弛緩症

症状

元気なのに飲んだものを吐いてしまう

かかりやすい月齢:生後すぐから

 

原因

先天的に胃の上部にある噴門の筋肉が弱いため、食べ物や飲み物が逆流してしまいます。元気で食欲もあるのに体重が増えません。

 

予防・悪化させないためのケア

1回の授乳量を減らし、回数を増やすなどの工夫をしましょう。それでも体重があまり増えずに心配なときは、受診しましょう。

 

肥厚性幽門狭窄症

症状

授乳のたびに激しく吐く

かかりやすい月齢:2~3週間以降

 

原因

胃の出口にある幽門が厚くなっているために、胃の内容物が十二指腸に出られず、逆流します。授乳のたびに噴水のように激しく吐き、体重が増えません。そのままにしておくと栄養不良になり、体重が減少することもあります。

 

予防・悪化させないためのケア

先天的な場合が多いので、予防法はありませんが、激しく吐く状況が気になるときは受診を。治療は、手術して厚くなっているところを切開します。

 

ウイルス性胃腸炎

症状

嘔吐、下痢に発熱を伴うことも

かかりやすい月齢:6カ月以降

 

原因

いわゆる「お腹のかぜ」で、ウイルスが胃腸に感染して起こる急性の胃腸炎。下痢や発熱を伴ったり、食欲がなくなり、きげんが悪くなることもありますが、症状はそれほど重くありません。

 

予防・悪化させないためのケア

かぜがはやる時期には人混みに出かけるのを避けて。感染したら水分を小まめにとらせますが、嘔吐や下痢がひどいときには受診を。

 

腸重積症

症状

激しく泣いて嘔吐。それを繰り返す

かかりやすい月齢:5カ月から1才前後

 

原因

腸の一部が重なり合って、肛門のほうに引っ張られる病気で、発熱や下痢などの症状がなく、突然激しく泣き始めて嘔吐を繰り返します。しばらくすると治まりますが、すぐに症状がぶり返します。吐いたものにコーラのような色の胆汁が混じることも。重なった部分が締めつけられて血流が悪くなり、時間が経つと生命の危険もあるので、救急車を呼んででも病院に。

 

予防・悪化させないためのケア

早期発見が大事で、発病から24時間以内に適切な処置をすれば手術は避けられることがほとんど。また、約1割が再発するとされているので、同じような症状が再び現れたときもすぐに受診を。

 

かぜ(かぜ症候群)

症状

発熱、せき、鼻水、鼻づまりなど、さまざまな症状が…

かかりやすい月齢:6カ月以降

かかりやすい季節:通年

 

原因

多くはウイルスを病原体とし、その種類は200ほど。これが鼻からのどにかけての上気道に感染して、急性の炎症反応を起こします。

 

予防・悪化させないためのケア

一度感染してウイルスに対する抗体ができても、別のウイルスに感染することがあるので、かぜがはやっているときは外出を避けて。

 

インフルエンザ

症状

急に高熱が出て長引き、せきも激しい

かかりやすい月齢:6カ月以降

かかりやすい季節:冬

 

原因

インフルエンザウイルスが原因で、非常に感染力が強く、かぜに似た症状が強く出ます。ウイルスの種類がいくつかあり、一冬に何度かかかることも。抵抗力が弱い赤ちゃんが肺炎や脳症などの合併症を起こすと重症化することもあります。

 

予防・悪化させないためのケア

予防接種が有効。生後6カ月から受けられ、2回接種します。毎年春を過ぎるとその年、流行が予測されるウイルスのワクチンが開発されます。赤ちゃんに感染させないために、ママやパパも接種するのがいいでしょう。

 

脳炎

症状

かぜのあと、高熱やけいれんを起こす

かかりやすい月齢:生後すぐから

 

原因

かぜ、はしか、おたふくかぜの原因となる細菌やウイルスが脳に入り込み、炎症を起こす病気です。嘔吐や発熱、頭痛、けいれん、意識障害などの症状が現れ、さらに進行すると知能障害や失語症、運動まひなどから深刻な後遺症を残したり、ときには命にかかわることもあります。早期治療が大事で、対処が早ければ薬で後遺症を残すことなく治すことも可能です。

 

予防・悪化させないためのケア

かぜやはしか、おたふくかぜのあとに元気がなかったり、ぐったりしていて吐くようなら再受診を。また、予防接種が受けられるものはなるべく受けたほうがいいでしょう。

 

食中毒

症状

吐き気、嘔吐、下痢のほか発熱や頭痛も

かかりやすい月齢:5カ月ごろから

 

原因

食品や水に含まれる細菌が原因で、胃や腸が炎症を起こす病気です。鶏肉(キャンピロバクター菌)、水や鶏卵(サルモネラ菌)、魚貝類(ビブリオ菌)、肉の加工品(ブドウ球菌)など、細菌が繁殖しやすい食品はさまざまで、中でもボツリヌス菌が繁殖したハムやソーセージ、缶詰などをとると、下痢や嘔吐のほかに神経系をおかされ、赤ちゃんの場合は呼吸困難を起こす恐れもあります。食べてから症状が出るまでの時間は菌によって違いますが、早いものでは4時間ぐらいです。

 

予防・悪化させないためのケア

調理の前には必ず手を洗い、調理器具も清潔に保ちます。そして離乳食に使う食品は必ず加熱するようにしましょう。

 

 

ホームケアで出来ること

 

上記のように赤ちゃんの嘔吐の原因となる病気はさまざまありますが、まずは焦らず、状況別において対処していきましょう。

 

●繰り返して吐きそうなときは

あお向けに寝かせていると吐いたものが気管につまる危険があります。吐き気が治まらないようなら、顔を横に向けて寝かせます。頭の後ろに丸めたハンドタオルを置いたり、布団の下にクッションを置いて体を横に向けてもいいでしょう。

また、抱っこをしたり、首がすわっていれば、抱き起こしてお座りの姿勢にしてあげると、楽になります。頭の後ろや背中に丸めたタオルを入れて、横向きの姿勢を補助してもいいでしょう。

 

●吐いたあとは

吐いたものが中に残っていると、においなどが原因となり、次の吐き気を誘発することもあります。吐いたあとは、ガーゼなどで口の中をきれいにふき取り、飲み物を飲ませましょう。汚れた衣服もすぐに着替えさせます。

嘔吐が激しいときは、脱水症状を防ぐため、小まめに水分補給を。ただ、一度に大量に飲ませると吐き気をもよおすことがあるので、少量ずつ回数を多くして。ガーゼで口の中の汚れをふき取ったあとは、飲み物を飲ませてきれいに流しましょう。

 

●母乳やミルクは

吐く回数が少なく、元気で食欲もあるなど、他に気になる症状がなければ、授乳はいつもどおりでかまいません。ただ、ミルクや母乳は胃に長くとどまって負担をかけるので、吐き気が強いときは中断して、白湯や麦茶、イオン飲料などを水分補給のために少量ずつ飲ませます。

症状が治まってきたら、様子を見ながらミルクや母乳を飲ませてもいいでしょう。吐く回数が少なければ、水分補給のためにミルクや母乳はいつもどおりに与えても。

 

●離乳食は

たまに吐く程度で、他に症状がなく、食欲があれば、離乳食はいつもどおり与えてもいいでしょう。ただ、酸味の強いものは吐き気を誘発することもあるので注意して。しかし吐き気が強いときは、離乳食を中断し、水分補給だけにします。症状が治まって再開するときは、ふだんより柔らかめの、消化の良いものから始めます。

赤ちゃんの様子を見ながら、少量ずつゆっくり進めましょう。食欲があれば、少量ずつ様子を見ながら。中断後再開するときは柔らかめから。

 

●吐くと水分が失われるから

嘔吐が激しいときは、体の水分が急速に失われて脱水症状が起こる危険があるので、予防のため、水分補給は十分に。麦茶、イオン飲料などを少量ずつ飲ませます。スプーンで数さじ与え、20~30分様子を見て吐かないようなら、また与えます。それでも激しい嘔吐を繰り返すときは、受診して点滴などの処置を受けましょう。

また、赤ちゃんの体に負担がかからないよう、イオン飲料は必ずベビー用のものを選んで。麦茶や白湯、イオン飲料を少量ずつ飲ませて、脱水症状を防ぎます。

 

●きげんが良ければ入浴しても

嘔吐が続くときは、体が汚れて不潔になりがちです。吐く回数が少なくなり、水分もしっかりととれていてきげんが良ければ、体の清潔を保つためにも入浴していいでしょう。

ただ、長時間の入浴は体に負担がかかりますので、短時間でさっとすませて。また、発熱や下痢などをともなっていたり、嘔吐が激しく体力を消耗しているときは入浴を見合わせましょう。