いったんついてしまった脂肪を物理的に取り除く脂肪吸引術は美容外科で行っています。現代医療のなかでも、胃を縮小して多くを食べられなくしてしまったり、消化吸収を阻害する手術もあります。

 

美容外科の場合は別ですが、現代医療での外科治療は、合併症をいくつも抱え、ひどく乱暴にみえる治療法であっても、やらないよりはやったほうが安全、というほどに太っている人のみに行われます。日本人の場合には、そこまで太れる人は逆に少ないのですが、最近ではぼつぼつ出始めているといいます。

 

 

胃を小さくする手術

 

現代医療のなかで行われている肥満の外科治療は、知るだけでも「なんとか自分で努力してやせよう」と思うほどその手術は壮烈。実際、手術はBMI50〜60(35以上でも合併症が深刻な人)の人に適用されます。

 

BMI50〜60というと、ダイエットでやせるといったレベルの肥満を超えています。しかも、そうした人のほとんどは、深刻な合併症をいくつも抱えており、なんとしてもやせなければ生命の保証がないといったほどの肥満を抱えています。そのリスクは外科手術に伴う危険をはるかに超えており、そうした場合にのみ行われるといってよいでしょう。

 

それほど太れるのは、遺伝的な要素が非常に濃いとはいえ、生まれたときからずっとその状態であるわけはなく、どこかで歯止めをすればできたわけですから、くれぐれもそうならないよう、先に警告しておきましょう。

 

現代医療で行われている外科治療は、簡単にいえば2種類。ひとつは胃を縫い合わせることにより、内容量を小さくしてしまい、物理的に食べたくても食べられないようにしてしまう方法です。要は、胃がんにおける胃切除と同じと考えてください。

 

切除こそしませんが、食べ物が入る容量を通常1400ccほどあるところを、50ccほどまでに詰めてしまうのですから、ほとんど切除した状態と同じ。当然、少し食べてもすぐにおなか一杯になってしまうので、食べられなくなってしまいます。したがって、常に満腹感があるため、欲求不満は起こらず、ストレスにもならないので、リバウンドの心配はありません。

 

とはいえ、胃切除した患者が小分けの食事で体力維持するように、回数を増やしたり、流動食で高カロリーのものを食べてしまえば元の木阿弥。リバウンドが起こった例もあるといいます。

 

 

消化吸収器官「小腸」をカットする手術

 

そこで考え出されたのは、消化吸収を阻止してしまう手術。胃を極端に小さくしてしまうところまでは同じですが、消化吸収する小腸までも短くしてしまう方法です。

 

胃に入った食べ物は、小腸に送られ、大半の吸収は小腸で行われます。この小腸にはさまざまな消化液が分泌されており、消化液の作用を受けながら、小腸を通過して吸収されていき、大腸に行くまでには、ほとんどの栄養素が吸収されてしまいます。したがって、この小腸を短くしてしまえばその分、吸収する道筋が短くなるため、栄養カットができます。

 

まず、胃を50ccほどにカットし、本来の胃につながっている小腸をカットして小さくした胃につなぐという荒技。これによって小腸は、消化液の影響を受けない部分が出てくるので、吸収の道のりは約1メートル半くらい短くなります。ちなみに、手術は当然、医療保険の適用になります。

 

 

脂肪吸引手術

 

BMI25程度であっても、女性の場合にはとくに肥満が気になります。たとえ合併症など何もなくても、誰もがやせたいと思っているに違いありません。

 

ちなみに、BMI18.5以下をやせに分類しますが、最近ではBMI17を切る若い女性が多くなり、そうした女性に生理不順や生理が止まってしまうなどの弊害が起きており、少子化の現代にあって、生みたくても生めない女性がさらに増えるのではないか、と懸念されています。

 

厚生労働省が21世紀の国民の健康づくりの指針として出した「健康日本21」においても、BMI18.5以下の20歳代女性が17.1%とのぼっていることを指摘し、これを15%にすることを目標にしています。

 

したがって、太っていないのにやせたいと思う、やせているのになおやせたいと思う女性の心理には、どこかで歯止めをする必要があります。そうした心理を見抜いて、ダイエットでどうしてもやせられない人のために、美容外科では脂肪吸引を行っています。

 

極細の脂肪を吸引する管であるカニューレにより、脂肪を吸引して減らしてしまうこの方法は、下腹部や太腿、二の腕など、やせたいと思う部分に対して行うことができます。

 

減量というよりも、見た目の変化が得られます。しかし、医学的にみれば、吸引できるのは皮下脂肪だけ。生活習慣病の元凶となる内臓脂肪はそのままですから、プラス体のなかからの肥満解消に向けての努力も行わないと抜本的な肥満解消にはなりません。