発達に遅れや偏りがある子供の中にはいろいろな情報が(感覚刺激)をうまく自分のなかに整理して取り入れることが苦手で、混乱してしまっている子も少なくはありません。

 

その為に、①触覚・動きの感覚や視覚、音の刺激に対する過敏さや鈍感さ、②落ち着きのなさ(多動、集中力のなさ)、③運動の不器用さ、④自信のなさ、などのトラブルが発生することがあります。

 

このようなトラブルに対して療育施設や医療施設で訓練を行うことがあります。それに加えて、日常の生活の中で遊びを通してトラブルを軽減させていくための配慮や工夫を行うことが大切になります。

 

 

楽しく遊ぶポイント

 

「遊ぶ」ということは子供自信がそのことに意味や目的を見いだし、楽しめている状態です。この時の子供の脳は最も適切に働いています。「遊ぶ」と言うことは脳の発達を促すことになります。

 

好きな行動を取り入れた遊びを

子供が主体的に遊びに関わるとき子供の脳は遊びの中でイメージし、それに合わせて自分の体を動かして行きます。受け身的に遊ぶ時とは異なり、脳が積極的に働くことになります。主体的な遊びを促すためには、日頃子供がどの様なことに興味をもっているのかを把握しておくことが大切です。

子供が好んでいる(問題行動、変わった行動も含まれます。)行動(遊び)の中にぐるぐるまわりたい。触りたい。圧迫されたい。などが見つかります。このような要素を取り入れた遊びを提供することで、子供はその遊びに主体的に関わっていくことが出来ます。

 

五感を体験できるように

子供がさまざまな感覚を体験できるように心がけてください。例えば・・・糊を使うとき、スティック状の糊ではなく瓶に入った物使うことで指に糊の感触がわかります。絵の具を使って絵を書くときも筆だけでなく、手、指、スポンジをなど加えることでいろいろな触感が体験できます。

 

能力に則した遊びを

子供は遊びに必要な能力が、自分の能力を明らかに越えた場合や簡単すぎる場合、あきらめや退屈な状態となり、その遊びには興味を示さなくなります。

 

叱りや怒鳴りは禁物

大人の「さわってはだめ!」「汚れるよ!」と言った言動は楽しく遊んでいる場面を台無しにします。物を壊す、汚すことは遊びに中では日常茶飯事です。それが子供のとっては楽しく、さまざまな感覚を経験出来て楽しいことも多いはずです。

時には多少ハチャメチャにしても大丈夫な環境を用意してあげてください。壊れそうな物、危険な物は遊びの場所から遠ざけておく、野外で遊ぶ際は着替えを準備しておくなど、安全面での対処が必要です。さまざまな感覚を経験保証する上で大切なことです。

 

大人も一緒に楽しむこと

子供にも一緒に遊ぶ大人にも本当に楽しむということを大切にしてください。あくまで、子供にとって「遊ぶ」と言うことは楽しいという意味があることが重要です。自分でうまく展開出来ない子供もいます。この場合、遊びを展開していくのは周りの大人の遊び心です。大人も楽しみながら発想していくことが必要です。

 

嫌がる感覚を押し付けないこと

気を付けたいことは、嫌がるを感覚押しつけないこと。(慣らすという名目で無理やり刺激を与えていくことはマイナスでしかありません。)安全に気を付けていても、やはりしてほしくない遊び方もあります。「だめ」と止めるだけでなく「こんな風にしたらもっと楽しいよ」と具体的に遊びを促してください。

子供が生き生きと行える遊びは、少しだけ頑張るとできる遊び、ほどほどに挑戦できる遊びです。子供の遊びがうまくいくことは感覚統合機能が上手に働いたことにも繋がります。子供が好む感覚を主体的に取りこめるような配慮が必要です。

 

 

感覚統合をの発達促す要素

 

感覚刺激を楽しむ遊び

■揺れや回転を楽しむ(前庭覚)

自分の体に揺れやスピード感を、傾き感じる感覚。体のバランスや姿勢を保つことなどが関係しています。この感覚が鈍い場合、絶えず自分の体を回転させたり、走り回ったりするような行動がみられます。この感覚が過敏な場合には、揺れる遊具に乗ることを怖がったりすることがあります。

 

■触って楽しむ(触覚)

触ったり触られたりする事を感じる感覚。情緒的な安定や、自分のからだのイメージを作るなどの役割があります。この感覚が鈍い場合、いろんな物を触って楽しむ行動が見られます。この感覚が過敏な場合には、人に触られる事を嫌がります。また、初めてみる物になかなか触ろうとしないなどの行動が見られます。

 

■グッと力の入る感じを楽しむ(固有受容覚)

体の筋肉や関節からの情報(筋肉の圧迫感や引き伸ばされた感じ)を感じる感覚。この感覚が鈍い場合、絶えず飛び跳ねているような行動が見られます。

 

■聞いて楽しむ(聴覚)

多くの子供が楽しめるものの1つです。体操なども音楽と組み合わせると促しやすくなることがあります。この感覚が過敏な場合、周囲のあらゆる音に反応し集中力の妨げになることもあります。

 

■見て楽しむ(視覚)

動く様子、模様を見て楽しむ事が出来ます。

 

感覚刺激を使って考える遊び

■触って考える遊び(触覚探索)

目で見ていなくても触った物の感触で、それが何か判断することが出来ます。指先の細かな動作の下地になるものです。

 

■見て考える遊び(視知覚)

目で見て考える力は、見えているいくつかの物や部分の関連性やその中で必要とする物や部分を抜き出していく能力を育みます。形や色の判別などの様々な概念を作ることの下地を作ります。

 

基本的な運動遊び

■バランスや姿勢を保つことを促す遊び

傾いた自分の体を無意識的(時には意識的)に立て直し維持するものです。この能力が未熟な場合、物につまずいた時に手、足を出すことが出来ずにそのまま顔から転ぶことがあります。また、机に向かって何か行うとき、姿勢が悪く机に寝そべったような状態になることもあります。

 

■両手、両足の遊び(両側統合)

赤ちゃんの頃、左右の手をうまく合わせることが出来ず、バラバラに使うことがあります。運動の発達の中でこのように左右手(足)がうまく一緒に使えるようになる(両側統合)ことは大切なポイントです。

さらに利き手(利き足)がはっきりしてくると、動きの中で中心となる手とそれをうまく補助する手というように協調された役割分担がなされてきます。うまくいかない場合、左右の手が一緒に上手に使えることをマスターしてから、徐々に役割分担していくことが大切です。

 

考えながら動きをつくる運動遊び

■ちょっと複雑な全身の動きが必要な遊び

遊びの中でバランスやタイミングなど頭と体の動きを必要とする遊びです。

 

■ちょっと複雑な手先の動きが必要な遊び

馴染みのないちょっとした複雑な動作(運動)を経験する遊びは、新しい場面での適応力やはじめての物事への取り組む能力を高めます。一度体で習得された動作(馴染みのある動作)はあまり考えることなく自然に行う事ができます。プロセスを多く体験出来るような遊びは、子供の応用力を高める大切な遊びです。

 

正確な動きを促す手先の遊び

■見ながら手先を使う遊び(目と手の協応)

きちんと目で手先を見ながら正確に手を使っていくことは、手の細やかな操作能力を促すことになります。小さな物を掴み、目的の場所へ正確に移動させる様な遊びはこのような能力を高めます。

 

 

まとめ

 

子供は遊びとともに成長すると言っても過言ではなく、多彩な遊び道具を用いるほど、また遊び時間が長いほど、脳や身体に好影響を与えます。

 

特に、3歳になるまでには脳や身体は急速に発育していきますので、この期間にいかに遊ぶかがポイントとなります。場合によっては、安全面を考慮して遊びから遠ざけることも必要ですが、極力、子供が楽しんで遊べるよう、サポートしていってください。