子供の「あざ」には、茶色や黄色、黒色、赤色など、さまざまな種類があり、多くは問題がなく自然消滅していきますが、中には積極的な治療が必要な危険なものもあります。

 

あざは皮膚の表面にできるもので、自然消滅するものであっても目立つことで精神的な負担になることもありますので、レーザーなどで治療を行う場合には、その時期や方法などについて専門医としっかりと相談しましょう。

 

 

あざとは

 

あざとは、皮膚の一部が茶色や黒色、赤色などになる形成異常で、医学的には母斑とよびます。ほとんどの場合健康な皮膚との境目がはっきりしており、大きさや形はさまざまです。

 

あざは生まれつきのものと、出産後に現れるのもがあり、徐々に大きくなったり、稀にがんなどに変化する場合もあります。原因は、皮膚の細胞が発生する過程で色や形に異常が起きて形成されるという説や、遺伝によるという説がありますが、まだはっきりとは解明されていません。

 

 

あざの症状と治療

 

比較的よくみられるあざが数種類あり、最も目につくのは色の違いです。あざの色には茶色や黄色、黒色、赤色などがあり、それぞれに異なる特徴があります。

 

茶色の盛り上がったあざ(表皮母斑)

症状

表面がざらざらしていて、いぼ状に盛り上がり、大きさや形もさまざまな茶色のあざで、生まれつきのものと小児期に発生するものがあります。皮膚のしわの方向に沿って線状、連鎖状、帯状などに並んでできるものを序列性母斑といい、かゆみを伴う場合もあります。手や足、からだの片側に広い部分にわたり現れる片側性母斑はあざの発生だけでなく、まれに骨の異常や脳腫瘍などの病気を伴うことがあります。

 

治療

年齢、発生した場所、大きさなどにより治療方法が違ってきます。電気凝固、電気焼灼、レーザー照射、凍結療法などで、あざの細胞を壊します。色の違う部分を取り除いただけでは再発しやすく、組織を完全に除去する全摘手術を行えば再発を防げます。ただし、この場合は手術の傷跡が残ります。

 

茶色の平らなあざ(扁平母斑)

症状

生まれつきか、生後早い時期に現れる淡茶色、濃茶色の扁平なあざです。直径数mmから、からだの半分を占めるほどの大きさまであり、形もさまざまです。なかには点状やまだらの色素沈着の場合もあります。からだ中どこにでもできるあざです。

 

治療

あざが悪性に変化することはないので、放置しても問題ありませんが、美容上の理由で治療を希望する人もかなりおられます。方法は皮膚を移植する植皮術、色素斑を皮膚ごと削り取る削皮術、ドライアイスを色素斑に当てて圧迫するドライアイス圧抵療法などがあります。最近、レーザー光線で色素斑を焼くレーザー治療が注目されており、効果もあります。

 

黄色のあざ(脂腺母斑)

症状

生まれつき、あるいは生後間もなく現れ、成長するにつれ大きくなる黄色のあざです。最初は平べったい状態のまま盛り上がっていますが、あざの表面にぶつぶつができ、次第に凸凹を生じます。頭によく現れ、あざの周囲には毛が生えず形の整わない脱毛斑になります。頭のほか顔にもできます。

 

治療

頭にできたあざは、ブラッシングなどで傷をつけると、一種の良性腫瘍ができる誘因になります。また思春期以降、まれに皮膚がんに変化することもありますので、切除したほうが安全です。

 

黒色のあざ(母斑細胞母斑)

症状

一般に黒あざとよばれ、最もよくみられるあざで、ほくろもこの一種です。多くは生まれつきで、さまざまな形と大きさがあり、黒茶色や黒色をしています。なかにはからだの半分を占めるほど大きい場合もあり、扁平のもの、扁平に隆起するもの、半球状に隆起するもの、毛の生えているものなど表面の状態も多様です。

ほくろ(黒子)は、大きさが小豆大以下の小さなもので、皮膚面に平らか、半球状に隆起しています。3〜4歳ごろに現れ始め、思春期に数が増してきます。黒あざには特殊なものもあり、分離母斑、爪甲腺状母斑、点状集ぞく性母斑、巨大色素性母斑など数種類があります。なかでも巨大色素性母斑は大きく広がる黒あざで硬い毛が密生し、獣皮様母斑ともよばれています。

あざが急に大きくなったり、色や形が変わるのは危険な兆候です。炎症を起こして赤くなったり、出血やかゆみ、痛みなどの症状も、皮膚がんや悪性黒色腫に変化する前ぶれの場合があります。思春期前の変化はまれですが、早めに診察を受けましょう。特に足の裏、爪の下のあざは悪性化しやすいので経過に注意する必要があります。

 

治療

黒あざは状態や大きさで切除、植皮、電気凝固などの方法が選択されます。小さいあざの場合は化粧品でカバーする方法もあります。ほくろの治療の技術は発達しており、パンチとよばれる訂正印ほどの穴あけ器で切除する方法や、レーザー治療が効果を上げています。

 

赤い色のあざ(血管腫)

症状

皮膚にある毛細血管が増殖して生じる良性の腫瘍です。血管が透けてみえるため皮膚が赤くなり、赤あざとよばれます。子どもによく見られるのは単純性血管腫、いちご状血管腫です。

単純性血管腫は、皮膚面から隆起しない赤い色素斑で、赤ブドウ酒様血管腫ともよばれています。顔によく現れ、からだや手足にも発生し、大きくはなりませんが、そのまま残ります。額の中央部やまぶたに生じる淡い紅色調のあざは、サーモンパッチとよばれます。新生児の20〜30%に見られ、大部分は自然に消えます。

いちご状血管腫は、乳児の血管腫のなかでも最も多く、特に女児によく見られます。熟れたイチゴの果実を切って置いたような、鮮紅色の赤いあざです。生後数日で現れ、1年以内には大きく膨らみ、皮膚面から平らな状態に盛り上がる局面型と、半球状でこぶのような腫瘤型に分けられます。成長するにつれて少しずつ消失していきますが、腫瘤型であざの大きいものほど、消失後の皮膚にしわを残します。7歳以降もあざが残るときには、その後の自然消滅はほとんどありません。

 

治療

単純性血管腫には、レーザー治療の効果が認められています。レーザーで効果のない場合は、血管腫の全摘出術や植皮術などが行われますが、傷跡が残ることもあるので、経験豊かな医師に相談し、判断することが大切です。サーモンパッチは2歳ぐらいまでに消失することが多いので、気長に様子をみましょう。

いちご状血管腫は、一般に成長とともに消えることが多いので、幼児期には原則として治療の必要はないと考えられています。ただし血管腫部分に潰瘍ができる場合や、まぶたの上にできて弱視を招く恐れのあるときなどは治療が必要です。

治療方法としてはステロイド薬、放射線療法、凍結療法、圧迫療法、手術などがあり、あざの状態やできている場所で決められます。美容的な観点からの早期治療に対する考え方が、医師によって異なる場合がありますので、よく相談をして判断しましょう。

 

病気を伴う全身疾患(母斑症)

症状

多数の皮膚のあざのほかに、脳や内臓、目などに生まれつきの病変を伴う全身疾患で、大部分に神経系の異常があります。遺伝性のものもあり、小児期に現れるものも少なくありません。

 

治療

母斑症の多くはかなり重症の疾患ですが、適切な処置をとることで病気の進行を防ぐこともできるとされています。まれな病気が多いので、それぞれの専門医を皮膚科などで紹介してもらい、診断と治療を受けましょう。

 

 

現在のレーザー治療

 

最近レーザー治療の効果が、広く認められてきました。レーザー治療は、高いエネルギーを小さい面積に集中させることで、あざの部分の細胞を壊します。レーザー光は過剰な色素にのみ反応するように調整されていますから、健康な皮膚を傷つけずにあざやほくろの治療ができるわけです。

 

あざの色ごとに、吸収するレーザー光線の波長が違う為、色別に使う機械も異なってきます。茶色や黒色、青いあざにはアレキサンドライトレーザーを用います。単純性血管腫には、色素レーザーが有効です。扁平母斑にはルビーレーザーが効果があるとされています。数ヶ月から半年に1回レーザーを照射し、経過をみながら治療を進める場合が多いので、治療はある程度長期にわたるのが一般的ですが、治療時間は短く、あともほとんど残りません。

 

どこの病院にもレーザー治療機があるとは限りませんから、皮膚科や形成外科に問い合わせるか、かかりつけの小児科医に紹介してもらうとよいでしょう。あざの状態で、レーザーの効果がない場合もありますので、医師の説明をよく聞いてください。