赤ちゃんには様々な能力が備わっていることが知られています。赤ちゃんの聴力と記憶力について、三つの研究結果を紹介しながら、いっしょに考えてみましょう。

 

 

血管音を聞いて育った

 

最初は、特に有名で、今や常識的なこととして知られている実験結果です。泣いている新生児に、テープに録音した「シャー、シャー」という大動脈の血管音を聞かせると、赤ちゃんが泣き止み静まるというものです。

 

この事実は赤ちゃんが大動脈の血流音を胎児期に、つまりお母さんの子宮の中で育って行く過程で聞いていたというわけです。そして、新生児となってお母さんから離れたときにも覚えていたのだと解釈されています。

 

 

胎児は聞いた俳句を覚えていた

 

二つ目の研究は、お母さんに妊娠中の間、あらかじめ決められた俳句を繰り返し声に出して読んでもらっておき(『胎児はこれを聞いているはずだ』との仮説でもって)、そして出産後はお母さんは生まれた赤ちゃんに俳句を読んで聞かせるというものです。

 

もちろん俳句以外の話しかけを行ったり、また、胎児期に俳句を聞かなかった赤ちゃんのグループも実験に加わりしました。俳句を聞いて育った赤ちゃんは、聞き慣れた俳句には変化を示さず、聞き慣れない俳句に強く反応を示したというのが研究結果でした。俳句を聞かないで育った赤ちゃんは、俳句に興味を示しませんでした。

 

この研究の結論は、「聞き慣れない他の俳句に強い興味を示した」ということです。聞き慣れた俳句にはいわば慣れっこになっていた。つまり、「俳句を記憶していた」ということになります。俳句の意味は赤ちゃんには分かりませんから、「音の抑揚、調子を記憶していた」ということでしょう。

 

 

やさしい声が好き

 

また別の研究です。お母さんにお願いして、赤ちゃんに対してやさしい声で話しかけてもらい、そしてまた無感動な声で話しかけてもらうという実験。やさしい声で話しかけられた赤ちゃんの手足の動きは活発になり、一方、無感動な声で話しかけられた時には赤ちゃんの動きは乏しくなったというのが結果でした。

 

赤ちゃんは、いわば心のこもったやさしい話し声を肯定し、積極的に反応すると言えるでしょう。そんな赤ちゃんの反応は、お母さんの積極的な働き掛けを促す効果をもちます。すると、お母さんは一層多く語りかけていくことでしょう。そうして、赤ちゃんとお母さんの関係はよりよいものになって行くわけです。

 

以上三つの実験結果から分かりますように、赤ちゃんはかなりの「聞く耳」を持っていると言えるでしょう。それなら『赤ちゃんによい音を聞かせたいな』という際、それは例えばよい音楽であっていいでしょう。よい音楽とは、お母さんが心を落ち着かせて聞ける内容のものです。よい音楽だからとて、聞き慣れないクラシック音楽を緊張して聴くよりは、リラックスして楽しめるものがいいでしょう。

 

妊娠中から

妊娠中であれば、お母さんが音楽を聞く効果は、お母さん自身が楽しく妊娠生活を過ごせることと、また、赤ちゃんの記憶能力を考えれば、将来赤ちゃんが音楽を楽しんで聴いてくれるようにとの期待感があります。

 

また、おなかの赤ちゃんに対して積極的に優しく話しかけることも必要なことだと思います。お母さんにイライラ、緊張が持続していたら、赤ちゃんはそんな調子に慣れっこになってしまいますよ。ということは、イライラや緊張の強い子に育つかも知れないということです。科学的手法にて、今後はこういった心の面に関する研究結果が出てくるかも知れません。

 

胎児はもちろん、赤ちゃんはいつもお母さんと一緒にいるわけです。お母さんの声の調子が穏やかであるのを、赤ちゃんは望んでいると思います。お母さんがイライラし、大声を出しそうになった時は、まず、深呼吸を。ほらね、おちついて、にっこりとね。