赤ちゃん(新生児や幼児)が下痢をしやすいのは、消化器が短い上に、胃腸の粘膜が弱いためで、ちょっとした刺激にも敏感に反応してしまいます。それゆえ、多くの場合は時間が解決してくれますが、病気の可能性も考えられます。

 

赤ちゃんが下痢をする場合の病気の種類や対処法をしっかりと把握し、少しでも負担をかけないように努めてください。ただし、自己判断は危険であるため、1週間以上続くようなら迷わず小児科に受診してください。

 

 

病院に行くか決める

 

まずは、状況に応じた対応をみていきましょう。「家で様子をみる場合」、「診療時間内の受診を必要する場合」、「診療時間外でも受診を必要する場合」、「救急車を呼んででも大至急病院行く必要がある場合」の4つの状況をご説明します。

 

そのまま家で様子を見る

  • いつもより多少便がゆるい程度。
  • 1日の便の回数が、いつもより1~2回多い程度。

 

診療時間内に受診を

  • 下痢が1週間以上続いている。
  • 水様便が1日に5~6回出る。
  • 下痢と嘔吐はあるが、水分がとれている。
  • 下痢の回数が増えた。
  • 機嫌が悪く、食欲がない。
  • 嘔吐、発熱を伴っている。
  • 便に少量の血が混じってすっぱいにおいがする。

 

診療時間外でも受診を

  • 水分補給ができない。
  • 便が白っぽい。
  • 便に鮮血が混じっている。
  • トマトジュースのような粘血便が大量に出る。
  • 熱があり、便にいつもと違う異臭や悪臭がある。

 

救急車を呼んででも大至急病院へ

  • 下痢と嘔吐が激しい。
  • 大泉門がへこんでいる。

 

 

赤ちゃんの下痢に考えられる病気

 

続いて、赤ちゃんの下痢と関係の深い病気を以下にご紹介します。自己判断は禁物ですが、どのような病気が存在するのかしっかり把握しておいてください。

 

なお、赤ちゃんの下痢と関係の深い病気は、「乳糖不耐性下痢」、「ロタウイルス腸炎」、「キャンピロバクター腸炎」、「かぜ(かぜ症候群)」、「アレルギー性腸炎」、「単一症候性下痢」、「細菌性胃腸炎」、「急性胃腸炎」など多岐に渡ります。

 

食事後に下痢を呈する場合には、食中毒の可能性もあります。(⇒子供の食中毒|症状(重症化の危険性)と対策・応急処置について

 

乳糖不耐性下痢

症状

下痢が長く続き体重が増えない

かかりやすい月齢:生後すぐから

 

原因

ラクターゼという酵素が何らかの理由で不足していることが原因で下痢が長く続き、体重が増えない病気です。ラクターゼは母乳やミルク、乳製品などに含まれる乳糖を分解、消化する働きをもっているので、消化がうまくできずに下痢を起こすのです。

この病気にかかった赤ちゃんは、お腹が張ってゴロゴロと音を立てるようになります。ときには嘔吐を伴うことも。多くは下痢が長引いて腸の一部に炎症が起こったことによる後天的なものです。

 

予防・悪化させないためのケア

下痢が長引くときは受診を。診断がつけば、乳糖が含まれていない治療用のミルク(無乳糖乳)を飲ませるか、乳糖分解酵素の薬を投与します。後天的なものなら比較的短期間で治ります。治療用のミルクには乳糖が分解された状態の栄養素(ブドウ糖やガラクトース)が含まれているので、赤ちゃんの成長には影響ありません。ミルクは市販もされていますが、勝手に判断して切り替えず、必ず医師の指示に従って飲ませましょう。

 

ロタウイルス腸炎

症状

激しい嘔吐のあと白っぽい水様便が大量に

かかりやすい月齢:6カ月以降

かかりやすい季節:冬

 

原因

冬に活発化しやすいロタウイルスに感染して起こる病気で、激しい嘔吐と下痢を起こし、発熱することも。すっぱいにおいのする白い水様便(水のような便)が大量に出ます。冬以外でも見られます。

 

予防・悪化させないためのケア

便に含まれているウイルスから感染するので、おむつ替えのあとは石けんで手をしっかり洗いましょう。かかると脱水症状を起こしやすいので、水分補給が大事。

 

キャンピロバクター腸炎

症状

発熱とにおいがきつく、粘液の混じった下痢便

かかりやすい月齢:6カ月以降

かかりやすい季節:5~6月ごろ

 

原因

ペットのふんや加熱が不十分な肉などが原因の食中毒の一種で、病原体はキャンピロバクターという細菌。夏に多発しますが一年を通じて注意が必要な病気です。においが強い、粘液の混じった下痢便が出ます。発熱を伴い、激しい腹痛や血便が出ることも。

 

予防・悪化させないためのケア

離乳食に使う食材の保存と加熱には十分に注意しましょう。また、ペットのふんの中に菌が発見されることが多いので、ペットに触ったときには必ず手を洗う習慣をつけましょう。

 

かぜ(かぜ症候群)

症状

発熱、せき、鼻水、鼻づまりなど、さまざまな症状が…

かかりやすい月齢:6カ月以降

かかりやすい季節:通年

 

原因

多くはウイルスを病原体とし、その種類は200ほど。これが鼻からのどにかけての上気道に感染して、急性の炎症反応を起こします。

 

予防・悪化させないためのケア

一度感染してウイルスに対する抗体ができても、別のウイルスに感染することがあるので、かぜがはやっているときは外出を避けて。

 

アレルギー性腸炎

症状

離乳食が始まってから下痢や嘔吐を

かかりやすい月齢:5カ月ごろから

 

原因

腸の粘膜に起こるアレルギーから下痢を起こすもので、母乳からミルクに切り替えたときや比較的早い時期に離乳食を始めたときに起こった下痢から、病気が発見されることもあります。予防・悪化させないためのケア 離乳食に使う食材は月齢に合ったものにしましょう。診断がついて抗原が特定されれば、それを除去した食事をとらせます。

 

単一症候性下痢

症状

黄色っぽい水様便が1日に何回も

かかりやすい月齢:1カ月以降

 

原因

母乳を飲んでいる赤ちゃんに起こる下痢で、水っぽく黄色い便や、白いブツブツ状、透明の粘液が混じった緑色の便が1日に何回も出ます。

 

予防・悪化させないためのケア

生理的なものなので心配はいりませんが、下痢のときはおむつかぶれを起こしやすいので、おむつ替えをこまめに。下痢が1カ月以上続くようなら、受診しましょう。

 

細菌性胃腸炎

症状

下痢、嘔吐、発熱を伴います

かかりやすい月齢:5カ月以降

かかりやすい季節:夏

 

原因

食中毒の一種で、サルモネラ菌やボツリヌス菌、ブドウ球菌などの細菌が原因となります。これらが胃腸に入って炎症を起こし、下痢や嘔吐を起こします。発熱や腹痛、血便を伴う場合も。

 

予防・悪化させないためのケア

離乳食に使う食材は、十分に加熱し、食材の保存法や調理器具の消毒にも気をつけて。とくに、湿度と温度が高くなる梅雨時から夏の終わりまでは、細菌が繁殖しやすいので注意が必要。かかってしまったら、体内の細菌をなるべく早く排出すること。下痢や嘔吐が激しいときは水分補給を。

 

急性胃腸炎

症状

下痢と嘔吐があり、すぐに排便したくなる

かかりやすい月齢:6カ月以降

 

原因

細菌やウイルスが胃腸に侵入して吐き気や嘔吐、下痢、腹痛を起こします。とくに、下痢の症状では、排便をしてもすぐにまたトイレに行きたくなることがよくあります。原因がウイルスの場合には水様便が出るのが特徴。細菌の場合は発熱を伴うことが多く、便にうみや血が混じることも。

 

予防・悪化させないためのケア

細菌が感染源の場合、口から入るものが汚染されていることが原因。食材に気を使うほか、調理器具や手洗いなどをしっかりして予防を。

 

 

ホームケアで出来ること

 

最後に、赤ちゃんが下痢を発症している時に、家庭で行える対処法をご紹介します。急に下痢になった場合は特に、以下に挙げる対処法を実践し、二次感染の予防や下痢の緩和を図ってください。

 

うんちが出るたびに

下痢のうんちはふだんより肌への刺激が強いので、おむつかぶれを起こしやすくなります。うんちに気づいたらすぐにおむつを交換。ふき取るか洗い流すかして汚れを取り、よく乾燥させましょう。処方された薬はきれいに洗ったママの手で、薄くのばすようにつけます。

ベビーパウダーは、つけた直後はさらさらしていますが、水分がつくと汗腺をふさぐので、避けたほうがいいでしょう。下痢のときはとくに、おむつかぶれに気をつけて。清潔と乾燥が大事。ベビーパウダーは避けて。

 

おむつ替えのあと、ママは

キャンピロバクター腸炎やロタウイルス腸炎に代表されるように、下痢の便には、感染源となる細菌やウイルスが含まれていることが多いものです。おむつ替えをしたら、必ず手を石けんできれいに洗い、二次感染を防ぎましょう。

また、下痢のときに限らず、ふだんからおむつを替えたら手をきれいに洗う習慣をつけておけば、病気の予防にも有効です。爪の間まで薬用石けんを使ってしっかり洗う習慣をつけておきましょう。外出から帰ったときや調理の前にも手洗いを。

 

おっぱいや離乳食は

下痢をしていると、赤ちゃんの体内の水分が急激に失われ、脱水症状を起こすこともあるので、水分補給はしっかりしましょう。糖分は下痢を悪化させることもあるので、果汁を与えるのならりんごを選んで。ただ、ミルクや離乳食は胃に負担をかけるので、赤ちゃんの様子を見ながら量を加減しましょう。

離乳食はふだんより柔らかめのものを与えますが、症状がひどいときには中断しても。下痢が治まって再開するときは、柔らかいものから少しずつ。

 

おしりが赤くなる前に

下痢の便は赤ちゃんの肌を刺激するので、おむつかぶれを起こしやすいもの。うんちに気づいたらすぐにおむつ替えを。しかし、ふき取るだけではなかなかきれいになりませんし、あまりこすりすぎると柔らかい赤ちゃんの肌が荒れてしまいます。

発熱がなければ座浴やシャワーでおしりを洗い流すのがいちばんです。洗った後はタオルで押さえるようにしてしっかり水分を取り、よく乾かしてから新しいおむつをつけましょう。うんちが出たとき、発熱がなければ、シャワーや座浴で汚れを流すと楽です。

 

下痢のときにダメな飲み物・食べ物

ミルクや母乳は胃腸に負担がかかるので、下痢がひどいときには様子を見ながら、イオン飲料や白湯など、他の飲み物で水分補給をしましょう。果汁は糖分が多く、とくにかんきつ類は下痢を悪化させることもあるので、与えるならりんごを選びます。

胃腸への負担を少なくするためにミルクを薄めて飲ませることもありますが、必ず医師の指示に従ってください。離乳食が始まっているときは、肉や魚などの脂肪分を多く含むものは消化しにくいので避けましょう。

 

食中毒を予防するためにできること

食中毒のほとんどは、細菌性のものです。食中毒が梅雨時から夏にかけて起こりやすいのは、湿度や温度が高く、細菌が繁殖しやすいから。離乳食の時期には、食材にはしっかり火を通すことを心がけましょう。

また、食材の保存にも気をつけましょう。そして、調理器具も清潔に保ちます。 そのほか、ペットのふんから感染するキャンピロバクター腸炎なども食中毒の一種です。ペットに触ったら必ず石けんで手を洗う習慣をつけておきましょう。

 

 

最後に・・・

 

赤ちゃんは体がまだ発育していないため、頻繁に下痢が起こるものです。通常は腸の働きが不十分なことによる一過性の下痢ですが、感染などの病気の可能性も十分に考えられるため、下痢がひどく元気がない時や、長期的に続く場合には、できるだけ早く小児科に受診してください。

 

また、下痢そのものを改善させるのはもちろん、二次感染や肌への刺激などにも考慮しておかなければいけません。大事な大事な我の子のために、確かな知識を深めて、逐一対処していきましょう。