便秘というと、どんな状態にある時を考えておられるでしょうか?お子さんの排便パターンのどのようなところを 便秘ととらえておられるのでしょうか?毎日排便がない、2~3日に1回しか排便がないなどの状態で、「うちの子は便秘なの・・・」と考えてはいないでしょうか。

 

毎日排便がなくても、2~3日に1回でも、普通の便で、本人が無理にいきんだり、痛みを伴なうことなく排泄され、排便後にすっきりとしていれば、それは便秘とは言いません。反対に、毎日排便があっても、硬く乾燥した便であったり、排便時に強いいきみを必要としたり、痛みを伴ったりするようであれば、それは便秘なのです。

 

お母さんは、日頃からお子さんの便の状態をご存じでしょうか?排泄回数・間隔・1回の量・性状・排泄時の子供の様子(いきみ方・痛みの有無)などの具体的な状態をよく観察してみて下さい。まず、お子さんの排便パターンを正しく知ることから始めましょう。

 

 

便秘の原因ってなんだろう!?

 

子供の場合の便秘の原因で、一番考えられるのは、水分の不足です。子供の体の約80%は水分ですから、汗をかいたり、水分の飲み方が少なかったりすると、すぐに水分不足になるのです。また、子供の体重1kgあたりの必要水分量は、大人の2倍以上と多く、沢山の水分が必要なのです。乳児から幼児、小児にいたるまでの便秘の多くの原因は、案外簡単な水分不足であることが多いのが実情です。

 

おしっこが頻回になるから、外出するから、旅行中だから、車に乗せるから・・・などの理由で、子供の水分摂取を制限したりしていませんか?食事の時以外でも水分を摂ることに積極的になっているでしょうか。外遊びやお散歩などの時は飲み物を持参するようにして、運動後にはこまめに水分を摂らせるようにしたいですね。

 

ここで、水分というと子供の好きなジュースでも良いのか?というご質問がありそうですね。私は、お茶やお水などのノンカロリーの純粋な水分をお薦めします。でも、夏の暑い季節や激しい運動の後に、たくさんの汗をかいた後などは、汗と一緒に体の中の電解質も失われますから、アイソトニック飲料などでもいいですね。おやつの時間におやつとして与えるのなら、牛乳やジュース類もいいと思いますよ。

 

ミルクしか飲まない時期の赤ちゃんでも、お風呂上がりの湯冷ましや薄めた番茶・果汁などはもちろんのこと、ミルクとミルクの間に水分(この時は、ノンカロリーの物)を摂る機会を作りたっぷりと与えましょう。母乳の場合でも同じですね。

 

 

食物繊維不足(食事量の不足)

便秘というと、食物繊維を多く摂るようにすると答える方は多いですね。食物繊維は、便の量を多くし、腸の働きを活発にさせ、腸をお掃除してくれる効果があると言われています。しっかりと毎日の食事の中に取り入れたいものですね。ところが、食事の全体の量が少ないことが便秘の原因になることがあることはあまり考えられていないようです。少食のお子さんは、便秘に傾きやすいお子さんが多いようです。

ミルクの時期の赤ちゃんには、果汁などで食物繊維を与えることが出来ます。柑橘類の果汁のほうが効果的でしょう。お子さんの月齢に合わせて、果汁の薄め具合を調節して下さいね。離乳食が始まっていれば、果物のすり下ろしや芋類、根菜類、緑黄色野菜などの食物繊維を多く含んだものを離乳食に取り入れて与えましょう。また、少量のバターなども同時に取り入れてみて下さい。

幼児食以降ですと、野菜は、生野菜ではなく、温野菜で摂るようにすると量的にも沢山食べられますね。また、肉類との量のバランスも必要です。肉類 : 野菜類=1:3(~2)ぐらいがいいと言われています。

 

運動不足

自分で移動できない寝返りもまだの赤ちゃんも、運動不足になることはあります。手足を活発に動かせるように、衣服を動きやすいものにし、手に持って音が鳴ったり、足で蹴って揺れたりする玩具などを使って運動させてあげましょう。生活の中で笑ったり、泣いたりするのも運動になっているんですよ。また、暖かい時期なら日光浴などもいい運動になりますね。

寝返りが出きるようになったら、お気に入りの玩具をわざと少し遠くに置いて、寝返りを誘いましょう。また、お座りが出来るようになると座って遊ぶことが中心になり、子供の手の届くところに おもちゃを準備してしまいがちです。 おもちゃの所まで寝返りして取りに行ったり、ずりばいやハイハイのような運動を誘い運動不足にならないようにしましょう。

捕まり立ちや立っちが出来るようになると、テーブルの上や手の届く棚の上に玩具を置いてみましょう。捕まり歩きに変化していきますよ。歩けるようになれば、散歩や外遊びをタップリとさせましょう。家の中で遊ぶよりも、運動量は格段に上がります。走ることができるようになれば、一緒に走ってあげましょう。(お母さんにも効果的かな。)

日光に当たること、つまり、日向ぼっこも運動になります。病気の後などで激しい運動のできない時、させたくない時ってありますよね。そんなときは、窓ガラス越しの日光浴だっていいんですよ。

 

排便時の痛み

便が硬く、大きくなってしまっている場合や肛門が切れてしまっている場合、いきむと痛がることがありますね。このように硬い便が続くと、肛門の痛みのために排便は痛いものと思いこんでしまい、便秘に陥ってしまうことがあります。この時点では、便はかなり硬くなってしまっていることが考えられるので、 便がある程度軟らかくなるまで数日は、毎日浣腸などにより硬い便を排泄させた方がいいでしょう。

排便時の痛みを和らげるためには、排便の前に、坐浴(洗面器などにお風呂と同じ温度のお湯を入れ、お尻を浸けて温める)やウオシュレット(小学生高学年ぐらいから)のお湯等で肛門を温めましょう。 これによって、肛門周囲の血液循環が改善され、 排便時の肛門の伸びがよくなります。 また、暖かいお母さんの指にベビーオイルをつけて、 肛門部をマッサージしてやる方法もあります。便が軟らかくなれば、痛みは感じなくなるでしょう。

排便は、痛いものだと強く思いこんでいる場合ですが、 子供が強いと尊敬しているキャラクターなどはないでしょうか? お父さんやお母さんでもかまいません。 例えば、男の子ならウルトラマンの人形などを持って入り、 「ウルトラマンが一緒に頑張ってくれるよ。応援しているよ。」 などというと、頑張れる子もいるようです。

 

お腹の冷え

意外と思われる方も多いと思いますが、お腹の冷えも便秘の原因になることがあります。薄着は体を鍛えるのには良いのですが、内臓のある体の部、 お腹から太ももあたりにかけてを、保温できるような服装にしましょう。 お腹が冷えると、下痢になる子もいますが、 お腹の動きが悪くなり便秘になる子もいるのです。

 

 

排便習慣をつけましょう

 

排便を習慣づけることも、腸のサイクルから考えることが必要になってきます。便は、排泄されずに腸内に貯まっていると、どんどん水分が奪われて硬くなります。毎日~2・3日に1度は排泄されるのが理想的です。

ここで、理想的と言いましたが、全てのお子さんがあてはまるわけではありません。排便も個人差が大きいものです。毎食後に排便のある子もいれば、4~7日に1回、沢山の普通便を心地よくスムーズに排泄する子もいます。その子供に合ったスムーズな排便がどうであるかを見極めることも、お母さんの重要な役割ですね。

排便習慣がついていない場合、私は一日の中で、親も子供も落ち着ける時間帯を薦めます。出来れば、食後がいいですね。食事によって胃の中に食物が入ってくると、胃が動き出します。するとその刺激によって腸も動き出すのです。これを胃結腸反射と言います。食後に便意を催すことって多いですよね。それは、こういう理由なのです。ご家庭の事情や生活サイクルから習慣づける時間を考えてみて下さい。

 

また、これが一番重要ですが、お子さん自身の腸のサイクルです。いつ頃に便意を催すことが多いかを思い出して考えてみて下さい。排便習慣がついていないと思っていても、よく考えなおしてみると子供の腸のサイクルは出来上がりつつあるかもしれません。できるだけその時間帯に合わせてあげられるように、調整しましょう。

時間が決まれば、毎日その時間にトイレに座らせましょう。この時、焦らせてはいけません。 ゆっくりとした気持ちの中で、排便に臨めるように環境を整えましょう。小さいお子さんなら、「お母さんも一緒に頑張るから○○ちゃんも頑張ろう。う~~ん。」と一緒に声を出して気張ってあげましょう。出ても出なくても毎日続けましょう。

 

排便があったときは、「ウンチが出たね。スッキリしたね。良かったね。頑張ったね。」と声をかけ一緒に喜びましょうね。硬い便の場合は、痛みが伴うこともあるでしょう。そんな時は、「痛かったね。痛いのによく頑張ったね。偉かったね。ウンチも出たかっただろうね、いいことしたね。」と痛みを乗り越えて排便したことをタップリと誉めてあげましょう。

排便がなかったときは、「出なかったけど、よく頑張ったね。明日も頑張ろうね。お腹がモゾモゾしてきたらいつでもお母さんに言ってね。その時にまた頑張ろうね。」と努力に対する良い評価とこの時間でなくても何時でも排便していいのだという柔軟性を持たせておきましょう。

 

便の状態を観察する癖をお母さんは付けましょう。硬い・普通・軟らかい・下痢、多い・まあまあ・少ない、こんな捉え方でいいんですよ。毎日観ていると子供の調子のいいときの便がどんな便なのかが解るようになってきます。

カレンダーなどに便の性状と出た回数などを記録しておくと、よく解りますよね。家の場合は、保育所に預かっていただいているので、その間の便の状態が全く解りません。でも、家での排便の状態は観察しています。数日排便がない場合や反対に下痢気味の場合などは、保母さんに相談したり連絡帳に書いたりしています。

お子さんが、3~5歳になれば、自分の便を見せてあげましょう。(無理強いしなくてもいいですよ)そして、「いいウンチ・硬いウンチ・軟らかいウンチ・下痢だね。」と教えてあげましょう。

 

 

便秘の薬:内服編

 

■マルツエキス(生後1ヶ月~2・3歳)

マルツエキスは、 「赤ちゃんと幼児のためのおだやかな効きめの便秘薬です。 麦芽糖のゆるやかな発酵作用が腸の蠕動を亢進し、 おだやかな排便をうながします。 水アメ状で淡い甘さの飲みやすい薬です。」(和光堂の説明文)スティック状と缶入りの2種類があり、町の薬局で1000~2000円程度で買うことができます。

飲ませ方は、授乳や食事の前に温湯又はミルク50~100mlに溶かして飲ませます。母乳やミルクの赤ちゃんの場合は、ほ乳瓶を使って飲ませましょう。母乳の赤ちゃんの場合は、ほ乳瓶を受け付けてくれないときがあります。そんな時は、母乳を与える直前に、水飴状のマルツエキスを指で頬の内側に塗りつけます。

後はいつもの通りに母乳を飲ませます。初回は最小量を用い、便通の具合や状態をみながら少しずつ増量又は減量していきます。1日1回から始め、 1日3回までの使用にとどめましょう。詳しいことは、使用説明書をじっくりと読んで下さいね。

 

■ミルマグ液(3歳~成人)

水酸化マグネシウムの液剤です。すごーく簡単に言いますと、体の中の水分を便の中に取り込んで便を軟らかくし、便の量を増やすことで腸の動きを活発にして排泄を促すものです。町の薬局で、1000~2000円程度で購入できます。

飲み方は、1日1回就寝前又は空腹時に飲みます。この時に、幼児なら100mlぐらい、小学生なら200ml以上の水分と一緒に内服しましょう。(牛乳は禁です) 体の中に水分が不足している状態では、効果的に働いてくれません。初回は最小量を用い,便通の具合や状態をみながら少しずつ増量又は減量していきましょう。通常は、飲んでから約6~12時間程度で排便がみられます。 詳しいことは、使用説明書をじっくりと読んで下さいね。

 

■ソフィット(3歳~成人)

病院でよく処方されるラキソベロン液とほぼ同じ成分のピコスルファートナトリウムの液剤です。すごーく簡単に説明しますと、大腸内細菌が作る酵素によって加水分解・活生化され腸の粘膜に作用し、腸蠕動運動(腸の動き)を活発にし、便からの水分の吸収を阻害することで便の量と水分を多く保ち便の排泄を促すのです。町の薬局で、1000~2000円程度で購入できます。

飲み方は、1日1回就寝前に飲みます。ほのかに甘いので、口を開けさせて直接口の中に滴下することもできますが、同時に水分も摂った方がいいので、水に溶かして飲む方法を薦めます。溶かす水の量は、子供が全部飲みきれる量にして、追加でミルマグのところに書いた量と同じぐらいの水分を飲ませましょう。初回は最小量を用い便通の具合や状態をみながら少しずつ増量又は減量して下さい。詳しいことは、使用説明書をじっくりと読んで下さいね。

 

 

便秘の薬:坐薬編

 

■ビサコジル坐剤(小学生~成人)

これも、すごーく簡単に説明すると、大腸に作用して腸の動きを活発にし、便からの水分吸収を抑えることで便の量を多く保ち、また、肛門から坐薬を挿入するという腸粘膜への直接的刺激が排便を促すのです。使い方は、1日1~2回肛門内に挿入(増減)します。詳しいことは、使用説明書をじっくりと読んで下さいね。

坐薬の具体的な挿入の方法は、「坐薬の使い方」 を参考にしてね。排便を促すための坐薬の場合でも、最低15分ぐらいは我慢させてね。坐薬を入れてすぐだと、坐薬だけがポロット出てしまうことがよくありますよ。一般に薬局で販売されているビサコジル坐剤は、10mgのものだけです。適用は12歳以上10mgなので、小学生の場合は、坐薬を縦に半分に切って半量にして使います。