アロマは健康に非常に有効で、香りはリラックス効果の他、認知症や鬱やといった精神的な病気にも役に立ちます。近年では特に軽度の精神障害を有する患者に対して、アロマを用いた精神安定法を推奨する医療機関が増えてきています。

 

もちろん、アロマならなんでもよいわけではなく、さまざまな香りがありますので、症状や状況に応じて使い分ける必要があります。また、単に好きな香りのものを使うというのも効果的です。

 

 

アロマテラピーとは

 

アロマテラピーとは、ハーブなどの自然植物の芳香の成分を利用して、肉体や精神を健康にする自然療法の一つです。アロマは「芳香」、テラピーとは「療法」を意味します。「療法」というと、病気やケガを直すという意味に聞こえてしまうかもしれませんが、アロマテラピーには予防の役割もあります。

 

疲れた体や精神をそのまま放っておけば、やがてそれが重なり病気につながることもあります。疲れた時に心が安らぐ香りをかぐことにより、心身ともにリラックスした気持ちになります。自分の体や精神の状態にあった香りを生活にとり入れることによって、安定した気持ちを保つことができます。

 

人間には本来もった自然治癒力(自分で治す力)というものが備わっています。「気持ちいい香りだな」と感じると、体を改善するホルモンが分泌され、自然治癒力を高める効果もあります。ただ、嫌いな香りでは効果は発揮できませんので、「好き」だと感じられる香りを見つけることが大切です。

 

 

香りのメカニズム

 

香りの成分は鼻から脳の中枢であるホルモンの分泌や免疫系の分泌を促すように指令する働きのある大脳辺縁系に届きます。そこから、心身に働きかけます。肉体的には、免疫系やホルモンの分泌をコントロールする部分に。精神的には、記憶や感情、情動にたずさわる場所にかかわります。鼻を経由して肺にも届き、血管を通じて全身に香りの成分を運びます。

 

また、皮膚を通じて毛細血管に吸収され、血液の流れにのって芳香成分が、器官や組織に拡散されるというものです。体内に入った成分は、尿や汗、呼吸を通じて排泄されます。アロマテラピーでは、香りのさまざまな有効成分が肉体面と精神面の両方に働きかけるというのが特徴です。

 

 

精油とは

 

精油(エッセンシャルオイル)は、ハーブがもつ有効成分が濃縮されて作られる純度の高い物質です。精油には芳香と薬効があり、フレグランスやフレーバー、医薬、農薬などに幅広く使われています。植物の中でハーブと呼ばれる約3500種類の中で、精油が採れる植物は約200種類。精油はそれぞれの香りの本質ともいえるものです。

 

植物から抽出される量はとても少なく、100Kgのラベンダーからは約3リットルしか精油が取れず、ローズの精油1滴を取るのに、約50本分のバラの花びらが必要とされています。精油はかならず薄めて使います。ひとつの精油だけでも効果は発揮しますが、数種類をブレンドすると相乗効果でアップします。

 

 

アロマの種類

 

アロマに使用できる精油には、ラベンダー、ユーカリ、イランイラン、サンダルウッド、スイートオレンジ、ローズマリー、セージ、ローマンカモミール、ペパーミント、ネロリ、ベルガモット、マージョラム、シナモン、レモングラス、ローズなどさまざまなものがあります。

 

■ラベンダー

アロマテラピーで最も広く利用される万能精油のひとつで、初心者でも安心して使えます。初夏には紫色の花をつけ、爽やかなフローラル系の香りです。昔から虫よけや消毒用としても有名でした。ストレスからくる緊張をほぐし、怒りを和らげ、疲労を回復させます。

 

■ユーカリ

ミント系のシャープな香りが特徴です。ユーカリの木は世界で最も背が高い木のひとつで、その葉はコアラの好物として有名です。体温を下げ、体に対して冷却作用やデオドラント作用があります。興奮した時に気分を引き締めたり、精神を集中させるのに役立ちます。眠気を防ぐ作用もあります。

 

■イランイラン

甘く重いエキゾチックな香りです。イランイランの木は熱帯の樹木の一種で、黄色、ピンク、藤色の花が木からぶらさがるように咲きます。精神的ショックを静め、喜びの感情を高めます。

 

■サンダルウッド

甘くエキゾチックでセクシーな木の香りです。サンダルウッドの樹齢60年ほどの成熟した木を使います。最上の品質の精油はインドのマイソール産のものと言われています。神経の緊張や不安を鎮静させる力があり、眠れない時に効果的です。また、セクシーな気分にさせる力も秘めています。

 

■スイートオレンジ

親しみやすい甘くフレッシュな香り。落ち込んだ気分を明るくし、不安や緊張をほぐします。誰からも好かれる香りは不眠症の改善にも役立っています。

 

■ローズマリー

クリアでしみ通るような爽快感のある香りです。虫よけや、肉を保存するために使われますが、肌を若返らせる効果もあります。その香りは記憶力を増進させる役目があります。

 

■セージ

鋭く、くっきりと印象を残す香り。疲労した時や哀しい時に効果を発揮します。また、記憶力を向上させたい時にもおすすめです。

 

■ローマンカモミール

「大地のリンゴ」というギリシャ語に由来しているとおり、リンゴに似たフルーティーな香りがあります。緊張感や不安を取り除くので、眠れない夜や、生理前のイライラした気分のときにも向いています。

 

■ペパーミント

メンソールのスッとした香りは、ウォーターミントとスペアミントの混雑種です。古くから歯みがき粉、消化薬、お菓子、酒などさまざまな分野で利用されています。刺激的な香りは、気持ちを引き締め、怒りを鎮めてくれます。精神的な疲労や頭痛などにも効果的です。

 

■ネロリ

オレンジの香りをフローラルにしたような、一度かぐと忘れられない優雅な香りです。精油のほとんどがビターオレンジの花から抽出されます。不安や落ち込んだ心を解きほぐし、ストレスを減少させて幸福感を与えます。

 

■ベルガモット

フレッシュなカンキツ系の香りですが、ほのかにフローラルな甘さを伴う香りです。紅茶のアールグレイの風味づけに使われることでも有名です。鎮静と高揚の作用があるので、やる気が起きない時にお勧めです。

 

■マージョラム

マイルドでライトスパイシーな香りです。花や葉、茎は嗅ぎタバコやパスタ料理、ソーセージ作りに利用されます。神経系を鎮静する効果があり、哀しみや孤独感を癒します。とくに、注意を集中させにくいとき、興奮を押さえる効果があります。

 

■シナモン

スパイシーで鋭く、ほのかに甘い香りがします。お菓子などにも使われます。疲れた時や衰弱している時に効果的です。

 

■レモングラス

レモンに似た香りですが、もっと強いのが特徴です。心を刺激し、精気を回復させる働きがあります。精神を高揚させて、エネルギーを与えてくれます。

 

■ローズ

「花の女王」と呼ばれるにふさわしい甘美でエレガントな香りは、幸せな気分にしてくれます。気分を明るく高揚させ、前向きで肯定的な感情を呼び起こします。

 

■グレープフルーツ

甘くて爽やかな香りで、気持ちをリフレッシュさせてくれます。落ち込んだ心を元気にして、頭痛や疲れを軽減します。

 

■ジャスミン

甘美で魅惑的な花の香りは、自信をなくした時に勇気や幸福感を与えてくれます。リラックス効果が高く、集中力が必要な時は使用を避けましょう。

 

■フランキンセンス

和名を「乳香」と言います。甘くウッディーでかすかにレモンのような香りがします。心をリフレッシュする効果があります。

 

■パチュリー

ウッディーで土っぽい、それでいて甘くてスパイシーな独特な香りです。多量の使用は刺激作用があるので注意が必要です。また、年月を経るごとに質や香りが強くなります。

 

■メリッサ

フローラルベースの甘いレモン系の香り。パニックなどを起こした場合に鎮静作用で穏やかにし、明るい気分に導きます。

 

リラックス効果を追求する場合、選択するアロマの種類はどれでも構いません。最も大切なのは「好きな香り」であること。そのため、さまざまな香りを試してみて、好みのものを見つけるのが第一となります。

 

 

アロマテラピー実践編

 

アロマテラピーは非常に簡単に使えるもので、また場所を問わず部屋の中はもちろん、お風呂場で入浴しながら使うこともできますし、寝室でゆったりしながら香りを楽しむこともできます。

 

お部屋の中で使うポイント

香りは熱を与えると、より強く香ります。その効果を利用して、部屋の中で気軽にアロマテラピーを楽しんでみましょう。アロマを焚く器具は、どれもかわいらしく、部屋のインテリアのアクセントにもなります。

 

■オイルウォーマー

オイルウォーマーは精油を加えた水を、ロウソクの炎で温め、水分の蒸発と共に香りを拡散します。

≪使い方≫

  1. 平らな場所にオイルウォーマーを置き、水か湯を8分目まで入れます。
  2. 水、もしくはお湯の中に、症状に合わせたオイルを2〜3滴落とします。
  3. オイルウォーマーの器具に火をつけたロウソクを入れます。(※ロウソクの炎の扱いには気をつけましょう。)

 

■アロマライト

電球の熱で香りを温めて拡散します。オイルウォーマーと違って炎を使わないため、寝室などに置くのに最適です。優しい光は、香りがなくなってもルームライトとして安心して使えます。

≪使い方≫

アロマライトの上部の皿に精油と、器具によって水か湯を注ぎ、ライトをつけます。

 

■アロマキャンドル

精油で香りをつけたキャンドルは、香りを楽しむと同時に、視覚的なこころへの作用が期待できます。既製品の種類も豊富で色もさまざま。夕暮れ時に部屋のライト変わりに、また、入浴の際にバスルームに置けば、いつもと違うバスタイムを味わえます。

 

入浴中に使うポイント

疲れた体がホッとできるときといえば、入浴の時間です。湯に好きな香りをたらすことによって、精油の香りを鼻から吸収し、香りの成分の効果を肌から浸透させることができます。

 

■全身浴

好きな香り、または目的に合わせた精油を湯の中に4~5滴入れるのが標準です。香りの強い精油や肌の弱い人は少なめにしましょう。1回の効果は30分くらいなので、次に入る人は新たに精油を足します。ただし、合計して10滴以上にならないように注意しましょう。

湯の温度は、リラックスしてのんびり湯につかる場合は38度前後がおすすめ。逆にリフレッシュしたい時は40度ぐらいの熱めの湯に浸かり、早めに上がります。

 

■手浴(ハンドバス)

洗面器などに手を入れ、ちょうどいい温度の湯で、両手首までつけるのが手浴です。湯に精油を1〜2滴入れ、10分程つけます。手のかさつき、指先や手、腕、肩こりなどに効果を発揮します。手の平のツボを押して、マッサージしながらつかると効果的です。

 

■足浴(フットバス)

浴槽、または洗面器にくるぶしにつかるほどの湯を張り、足をつけるのが足浴です。湯に精油を1〜2滴入れ、よく混ぜてから10分程度浸かります。足を温めるだけで全身の血行が良くなり、冷え性の人は特に効果的です。

 

寝室で使うポイント

アロマポットを使うほか、ポプリの入ったサシュやピローを枕元に置くのも効果的です。また、乾燥が気になるこのシーズン、眠る前に精油の入った水を部屋にスプレーすれば、ほのかな香りが部屋に広がるほか、部屋の乾燥も防ぎます。

 

この場合はオレンジやラベンダーがおすすめです。ミネラルウォーター24mlに対し、エタノール6ml、精油12滴ぐらいです。香りが強すぎると睡眠の妨げになるので、自分の好みで入れる量や部屋にスプレーする回数を調整しましょう。

 

 

精油の取り扱いにおける注意点

 

精油の中には排卵や生理の周期を促す作用のあるものや、刺激の強いものも中にはあります。妊娠中の人、重い病気の人、慢性的な病気を持った人はアロマテラピーが向かない場合もあります。妊娠中の人は安定期(5〜7ヵ月)に入るまではすべての精油の使用を避けましょう。精油が使えなくても、リフレッシュ方法として、ハーブティーを飲んだり、ポプリを部屋に置くなど、香りを楽しむ方法はあります。

 

また、3歳以下の乳幼児への使用もさけて下さい。12歳以下の子供の場合は大人の半量以下で試して下さい。マッサージなどで肌に使用する場合は、敏感肌、アレルギーの人はパッチテストをしてから使用しましょう。

 

 

精油選びのポイント

 

信頼できるお店で、正しい知識を持ったアドバイザーに相談するのが一番ですが、 自分で選ぶ時の注意点を紹介します。

  • 品名、学名、抽出部位、抽出方法、原産国など、表示に最低限必要なことが書いてあるか
  • 輸入元や取扱い注意もきちんと記載されているか。
  • 精油のビンは遮光性のあるガラス製で、1滴ずつ落とせる内ぶたがついてるもの
  • 店頭で香りを試す場合は、ビンから直接かがずに、空気にふれさせてから鼻先で香るか、ムエット(試香紙)につけて確かめます。
  • 自分の「好き」だと感じられる香りであること

 

 

精油の保存方法

 

精油は日光、熱、金属などの影響を受けやすく、香りが変化したり、色が変わることがあります。未開封なら約2年、開封したら約1年程度が品質保持の目安です(カンキツ系は半年が目安)。

 

購入時には使用期限をチェックすることを忘れずに。ふたはきちんと閉め、直射日光の当たらない、風通しのいい冷暗所に精油を立てて保存すること。湿気や火気も厳禁で、お風呂場などに精油を保存しないことです。

 

 

さいごに

 

アロマの香りは不安やストレスを取り除き、昨今では認知症や鬱などの精神疾患にも効果があると実証されています。香りの種類は、実に豊富に存在しますが、不安やストレス、不眠、認知症や鬱などの精神疾患に良い効果をもたらすのは「好きな香り」であるかどうか重要です。

 

嫌いな香りであったり、あまり好みではない場合には効果は期待できず、かえって逆効果になってしまうこともあります。そのため、さまざまな香りを試し、好みの香りを見つけるのが先決。見つかれば、後は実践あるのみです。