下顎前突症は子供の時にしか治すことが出来ない、そう言われていますが、実際は大人でも治すことが出来ます。原因や治療法など下顎前突症における知識を深めて、早急に対処していきましょう。

 

 

歯の機能以外に心理的影響があることも

 

下顎前突症とは、下顎(下あご)が前方に突出し、下顎の前歯が上顎の前歯よりも前方にある状態をいいます。

 

また、下唇も前方に突出しています。下顎前突症には、下顎が正常よりも大きな場合と、下顎の大きさは正常であるが上顎(上あご)が正常よりも小さな場合があります。

 

下顎前突症は、咀嚼(噛むこと)、嚥下(飲み込むこと)、および発音などに影響があります。さらに、自分の顔に自信がもてず、社会生活にも影響がでることがあります。

 

下顎前突症は、歯の部分のみが反対咬合の場合には、歯科矯正単独でも治りますが、下顎骨が著しく前方に突出しているような場合には、手術により治療することが必要となります。このようなあごの変形に対する手術を顎変形症(がくへんけいしょう)手術(顎矯正手術)といいます。

 

顎骨の発達は通常、17〜18歳ころまでつづいており、発育途上で手術をすると、再発するおそれがあります。したがって手術時期は顎の発育が一段落したと思われる時期、すなわち男子では18歳、女子では16歳以上であればいつでも可能です。したがって成人でも可能です。

 

 

手術の前後は矯正治療が必要に

 

顎変形症手術を行う場合は、ほとんどの場合、手術の前後に矯正治療を併用する必要があります。

 

すなわち手術前の矯正治療により手術後の噛み合わせ(咬合)を予測して歯並び(歯列)を整え、手術によってあごを移動したあとによい噛み合わせが得られる状態にするためです。

 

なお、手術前に矯正治療を行わずに手術のみを行った場合には、よい噛み合わせが得られないことが多く、したがって咀嚼も十分に行えないことになります。

 

さらに、せっかく手術をしたにもかかわらず、もとの噛み合わせに戻る傾向(後戻り)が見られることもあります。この手術の前の矯正治療の期間は歯並びの程度によって異なりますが、およそ1年程度です。

 

顎変形症手術を数多く行っている医療機関は歯科大学病院や医科大学病院の歯科・口腔外科、ならびに大規模病院の歯科・口腔外科などです。矯正治療が必要になることを大前提として、矯正歯科医と密接な連携のとれる施設がよいでしょう。

 

顎変形症手術は健康保険が適用されます。矯正歯科治療には原則として健康保険は適用できませんが、顎変形症手術に伴う矯正治療については、ほとんどの歯科大学、歯学部の矯正歯科では、健康保険が適用されています。

 

また、最近では、手術を実施する施設と密接に連携をとっている開業の矯正歯科医院での治療でも、健康保険診療が受けられるようになってきています。

 

 

治療における入院

 

入院期間は施設によって、また手術法によって多少異なりますが、おおよそ2週間から3週間程度です。

 

下顎前突症の手術の方法には下顎枝矢状分割法、下顎垂直骨切り術、下顎前方歯槽部骨切り術などがあります。いずれも口の中から手術するため、顔に傷が残ることはありません。

 

また、顎変形症手術は緊急の手術ではないので、手術の予定に合わせであらかじめ自分自身の血液を採血し、貯血しておく自己血輸血が適応でき、輸血に伴うアレルギー反応の副作用や、感染症(肝炎、エイズなど)を回避することができます。

 

よい噛み合わせにすることにより、顎関節症の症状である、顎関節都の疼痛、音が軽減することもあります。治療後は定期的に通院して、噛み合わせを確認してもらうことが大切です。