40代・50代の中高年といえば人生の最盛期。誰もが第2の人生を健やかに過ごしたいを願っていることでしょう。しかし職場でも家庭でも頼られる年代であり、身体の衰えだけでなく精神的な不安を抱えている人が多いようです。

 

最近ではメンタルヘルスとして、職場で心のケアに取り組む気運が高まってきました。これからの高齢社会、長くなった老後を健やかに過ごすためにも、まずご自分で心の健康について見つめ直すことが大切です。

 

そこで「中高年の心の健康」をテーマに健やかな心で、健やかに老いる知恵と工夫をまとめました。ナイスミドルにふさわしい心の健康法としてご活用ください。

 

 

現代は中高年者受難の時代

 

中高年者は若者の14倍ものストレスを抱えているという実態が明らかにされており、その要因には「職場のOA化」、「上司との関係」、「若い部下とのコミュニケーション」、「家庭環境」、「体力の衰え」などが挙げられます。

 

ストレスの発散がヘタな中高年

中高年者の心の病は一昔前の約5倍。若者より14倍もストレスを抱えているというデータがあります。まさに現代は中高年者受難時代といえるでしょう。職場ではちょうど中間管理職。

仕事と余暇をきっちりと割り切る若い部下と上司との間に挟まれ、パソコンなどOA化にもついてゆけない。また家族は子供中心で、一人で憩いのひとときを楽しむ時間も空間もないなどストレスはたまる一方。問題はその発散がうまくできない人が多いことです。

 

「一病・二病息災」の時代

人生50年といわれていた時代は「無病息災」、つまり病気をしないことが理想でした。しかし平均寿命80〜85歳時代では“長い人生誰もがストレスや病気の一つ、二つは抱えるもの”そんな割りきった考え方が必要ではないでしょうか。

その上で、ご自分の病気を知り上手に付き合っていく「一病・二病息災」の心構えが必要です。病は気から。健やかな心こそ健康体の基礎体力です。

 

 

中高年者に多い心の病気と対処法

 

40代・50代になってから、急に眠りが浅くなった、眠れなくなったという人は少なくありません。これは一種の「不眠症」であり、眠れない期間がずっと続いてしまい、心身ともボロボロになってしまうことも珍しくはありません。

 

不眠症の症状を緩和させるために「睡眠剤」、不眠症に加え精神的に疲れてしまっている人には「精神安定剤」などの薬が処方されることがありますが、これらは必ずしも改善できるわけではなく、またリスクがあるということもしっかり理解しておかなければいけません。

 

ご自分にあった快適な眠りの工夫を

年をとるにつれ仕事や家庭での責任が重くなるからでしょう、ストレスが強まり不眠症を訴える人が多いようです。またその症状もさまざま。寝付きが悪い、悪い夢を見る、朝早く目が覚めるなど人それぞれ違います。

そこでおすすめしたいのが、ストレスを和らげ気分転換をはかる工夫。いわば心地よい眠りに導く快眠法です。たとえば就寝前に軽い体操をしたり、ゆっくりぬるめのお風呂に入る、本を読むなどご自分にあった快眠法をお試しください。

就寝前に効果的な快眠法

・ぬるいお風呂に入る

・軽い体操をする

・本を読む

・寝酒

・音楽を聴く

・枕を工夫する

 

精神安定剤を誤解していませんか

中にはいろいろと工夫しても眠れない人もいます。8割ぐらいの人は疲れると自然に眠くなりますか、約2割は神経が高ぶり眠れないといいます。そんな人は精神安定剤を服用されるとよいでしょう。

最近は安全性がさらに高まり臓器への影響も少なく、中毒になったり、ボケを早めることはまずありません。ただし、お酒でも少量で酔う人と酔わない人がいて好みもあるように、体質にあう安定剤の量と質があります。必ず医師の処方によるものをご使用ください。

 

 

「うつ病」とその治し方

 

現代は「うつ」の時代といわれています。かのゲーテも躁うつ病だったとか。今では“今日はちょっとうつで・・・”というように気分の状態、感情の病気として広く一般的にとらえられています。

 

気分的なものだけに症状もさまざまで、軽度のものやスランプ状態など医療を必要としない程度か、医師の診断を要するか、その「見立て」は大切です。症状により治療法や対処法が異なるからです。

うつ状態の例

内因性うつ状態・・・休日の朝でも何もしたくない、気力がでない

焦燥抑うつ状態・・・ゆううつとイライラでじっとしておれない

消耗うつ状態・・・夕方あるいは終末になると疲れ、気力が出ない(不眠を伴うと失踪・自殺のおそれがある)

脳器質性うつ状態・・・無気力な上に職務上のミスが目立つようになる

引っ越しうつ状態・・・念願の新居に引っ越しした後になるうつ病

荷おろしうつ状態・・・困難な問題が解決し、やれやれと思った時になるうつ病

更年期うつ状態・・・更年期と関連して起きるうつ病

仮面うつ状態・・・気分は特にうつではないが、不定愁訴が多い状態

スランプ・・・最も多いうつの状態だが、気分転換すると気がはれる

 

「医療を必要とするうつ」と「必要としないうつ」の違い

野球選手がホームラン一打でスランプを脱出することがありますが、何かのきっかけでストレスが発散され、うつ状態から立ち直る場合があります。

たとえば自分が楽しみにしていることで気がはれるなら、医療を必要としない軽い「うつ」あるいはスランプ状態と考えてよいでしょう。問題はそれでも気力が出ない時。十分な休養をとることに加えて、専門医による適切な診断と治療で早く回復します。

 

 

こんな人がうつ状態になりやすい

 

うつ状態になりやすい典型的な人は、真面目で几帳面で責任感が強く、細かいことにもくよくよイライラする神経質な人といえます。こういう人がうつ状態になった時は、まず気分転換。仕事を離れてリラックスできる楽しみや時間が必要です。

 

まず楽しむこと、楽しみを見出すこと

どうもうつ状態になりやすい人は気分転換が苦手。またそんな時間を持つことを躊躇する人が多いようです。打倒“うつ”にはストレスを発散し、楽しく過ごすことがいちばんの特効薬。そういう人ほど楽しみを見い出すことが大切なのです。たとえば趣味に打ち込んだりご夫婦で旅行したり。仕事や生活にもきっとプラスになることでしょう。

 

職場や家庭の精神面でのサポートも大きな支えです

人事異動で長年親しんできた部署から別の部署に移ったり、コツコツと実務をこなしてきた人が管理職になったとたんにうつ状態に陥ることがあります。さらに職場や家庭の両方から叱咤激励されると、そのうちに出社拒否になることも。

逆に上司のほうが悩みを聞き、本人に適した部署や役職に配置転換すれば治る場合もあります。誰でも得手、不得手があると理解し追いつめることがないように、周囲の精神面でのサポートも大切なのです。

 

 

中高年者の「ボケ」と「ガン」の不安と対処法

 

40代・50代になると、「ボケ」や「ガン」に対して不安な気持ちを持つ人は少なくありません。しかしながら、「ボケ」にしろ「ガン」にしろ、十分に予防できるものなのです。

 

人間はそう簡単にはボケないのです

この人は確かに以前会ったことがあるのに、名前が思い出せない。老若問わず誰もが経験することなのに、中高年になるとボケではないだろうかと悩むようです。でも医学的には自分は“ボケた”と悩む人は実はボケていないのです。

たしかに40代〜50代に発病するアルツハイマー病がありますが、それは宝くじに当たるぐらい確率が低いとされています。単なる物忘れと考え、悩まないことです。

 

人生のキャリアが脳の衰えをカバーする

人の脳細胞は約140億から150億個といわれています。また20歳過ぎから毎日5万から10万個死んでいき、新しく生まれません。この計算でいくと1年間で約3、650万個、20歳から60歳の40年間で約14.6億個減ることになります。

とはいえ脳細胞の10%ほど。その程度のマイナス分はそれまで培ってきた人生経験という大きな財産で十分に補えるのです。70代前半までは、まずボケの心配はありません。

 

「ガン」ノイローゼも「偽ボケ」の一種

自分は「ガン」ではないかと思い悩むうちにノイローゼになり、ボケたようになる人がいます。こんな症状を「偽ボケ」といい、これはもちろんボケではなく治る病気。定年退職後、将来のことで思い悩み、不安感がつのるとちょっとした変調でも、“もしやガンでは・・・”と考えてしまうのです。臓器は心の動きをまともに受けるものです。ようは思い悩まないことが肝心なのです。

 

あれこれ悩まず定期検診を

誰でも長い人生の間に10回、20回は“ガンでは・・・”と考えるといいます。しかし悩み尽きぬ世代、不安感だけはどうしようもないのです。もし不安でしょうがないという人は定期検診を受けてはいかがでしょう。精神的なこともありますし、体質的なこともあります。信頼できる「かかりつけ医師」を持つと、より安心です。

 

 

中高年者の心の健康法

 

40代・50代は第二の人生の転機とも言われており、人間の寿命を100歳とした場合、ちょうど半分にさしかかる時期です。

 

第二の人生を楽しむためには、身体的な健康はもちろんのこと、精神的な健康も非常に大切です。身体と精神は密接に関わり合っているため、毎日を楽しく感じていると、身体的な健康にも繋がっていきます。

 

長い人生、生きがいを見つけることが大切です

定年が満60歳として平均余命は男性で20年、女性で25年。第2の人生は実に長期です。女性は家事や育児経験があり、その素晴らしいキャリアを家庭生活に生かしたり、また文化活動への参加も比較的スムーズにできるでしょう。

一方男性はほとんどの人が会社経験だけ。長期仕事中心に生きてきたため、老後をどう生きるかを思い悩む傾向にあります。いずれにしても私たちには新たなスタートを切るための生きがいが必要なのです。

 

プラス思考が人生に花を咲かせるのです

誰でも老年期を迎え、肉体的な機能は低下していきます。しかしその反面、年令とともに人生経験を積み重ね、幅広い立場からの判断や決断ができます。芸術家や政治家は60歳、70歳を過ぎてもなお現役で高い評価を得ている人がいます。

これからが上り坂だとプラス思考で取り組んでください。また身体の健康にはお金や時間をかけている人が多いようですが、心の健康にもぜひ目を向けていただきたいもの。趣味に文化活動に、新たな人生を華やかに開花させましょう。

 

“心のかかりつけ医師”を持ちましょう

「かかりつけ医師」というと内科を思いがちですが、長い人生を考えると精神科の主治医の存在も大きな支えとなります。心の病は時間がかかり、また腹痛や頭痛と違い、症状を具体的に伝えにくいため、いつもと同じ気心の知れた間柄の方がより効果があるからです。

それとともに上手なかかり方も心がけたいもの。たとえば今どんな精神状態かを紙に書いて持っていく。あらためて自分自身を見つめ直すことができ、医師にも短時間でより正確に伝わります。

 

かかりつけ医師のメリット

かかりつけ医師はあなたの心と身体の健康を管理するアドバイザーです。

■何でも気軽に相談でき、親身になって話しを聞いてくれます。

■あなたの病歴や持病などの健康に関するデータを有効に生かした治療ができます。

■日ごろあなたを知っているので、症状と治療を結びつける対応が速くできます。

■急病の時にもきちんとした処置や指示ができます。

■病気を併発した場合も、薬の重複を避けることができます。

■専門外の症状であっても適切な専門医をご紹介します。

 

 

さいごに

 

40代・50代には身体的な衰えも感じ、また社会的な責任が重くなることで、大きなストレスを抱えることもあるでしょう。人は生きるために仕事をしてお金を稼ぎますが、人生は仕事だけではありません。一度きりしかない人生を満喫するために、毎日を”楽しむ”ことが大切です。

 

現在、心身ともに疲労している方は、迷わず病院へ受診して改善を図り、自分の好きなことに専念してみてはいかがでしょうか。人生は1度きりしかありません。これまで頑張ってきた分、精一杯に人生を謳歌してみてはいかがでしょうか。