近年、20~30代の若い女性に増え続けている慢性疲労症候群。慢性疲労症候群とはその名の通り、疲労状態が続くことで、さまざまな体の症状が発現します。

 

慢性疲労症候群は、基本的に体の症状のみとなりますが、悪化すると心にも影響を与え、自律神経失調症やうつ病などの精神疾患を発症する場合もあるので、積極的な治療が不可欠となります。

 

 

20、30代のまじめな女性に多い疾患

 

ひどい疲れが半年以上続き、リンパ節腫脹,頭痛などをともなう。これが、慢性疲労症候群(CFS)という病気の症状です。CFSは、1988年にアメリカで確認された病気で、特定のエリアでの多発も見られ、感染症の疑いももたれました。

 

近年、ウイルスやストレスとの関連性が指摘され、感染症の疑いも捨てられてはいませんが、原因は、いまだに不明です。最近の研究で、この症状を持つ患者さんの血液中に特殊な抗体が確認されたり、脳内で疲労物質の増加が確認されたりしているので、医学的な研究の成果は少しずつ現われるものと見られます。

 

日本では、1000人に3人の割合で、この症状が見られるとされ、患者の約60%以上が女性というのもCFSの特徴で、20代後半から30代の女性に特に目立ちます。この疾患の原因としてストレスが指摘されるひとつの理由は、高学歴でまじめな女性に患者さんが多いという事実です。

 

最近、慢性疲労症候群(CFS)が、マスコミなどで紹介されることが多くなり、CFSの症状が、「病気」であるという認識が広まり、患者数は急増傾向にあります。古くからありながら、病気として認識されなかったのか、近年、実数が増加しているのかは定かではありませんが、とにかく、非常に多くの壮年の男女が、この症状に苦しんでいるわけです。

 

 

6ヵ月以上のひどい疲労感とさまざまな身体症状

 

CFSの明確な診断基準というものは存在しませんが、日本の厚生労働省の研究班は「少なくとも月に数日は疲労のため仕事を休まざるを得ない程度以上の疲労感」が6か月以上持続し、記憶または集中力の障害 、咽頭痛、頸部または腋下リンパ節の有痛性腫大、筋痛、多関節痛、新たに出現した頭痛 、睡眠障害、体動後の回復しにくい疲労感、の8項目のうち、4項目以上が6か月以上存在した場合に成立する」という指針を示しています。また、この指針には提示されていませんが、微熱あるいは悪寒も典型的な症状とされます。

 

ただし、うつ病や自律神経失調症などでもこうした症状が見られることもあり、CFSとしてひとつの疾患として括ることに異議を唱える医師も少なくありません。このあたりが、CFSという症候群の厄介さを物語っています。

 

 

ライフスタイルの改善を中心に2~3年の療養が必要

 

この疾患のもうひとつの厄介なところは、外からは、単なる怠けやサボリと区別がつかない点です。本人もまじめな場合が多いので、必死に働こうとしますが、やがて、身体を動かすことすら辛いという状況になります。主婦の場合には、出産を期に症状が重くなるというケースも見られます。

 

さらに、このCFSが、子どもたちにも見られるという専門家の指摘もあり、登校拒否や引きこもりとの関連にも注目が集まりつつあります。ただし、原因が定かでないということは、効果の高い治療法がないことを意味します。

 

CFSの診察を担当するのは、心療内科です。まず、問診によってCFSと診断されると、抗うつ剤やビタミンC、漢方薬(補中益気湯など)が処方され、鍼治療などを併行させる場合もあります。また、CFSが、生真面目な性格の人に多いということから、散歩や軽い運動などによるリフレッシュも治療の重要なプロセスとされ、仕事人間の場合には、仕事中心の生活を質的に変えていく努力も必要となります。

 

生活習慣と性格が大きく影響するため、治療の中心は、ライフスタイルの改善ということになり、治療は長期戦になることが多く、通常は、完治まで短くても2~3年かかるとされます。

 

 

最寄の専門医の診療を早めに受ける

 

原因がまったくわからないまま、非常な疲労感が、半年以上続くようなら、自分を叱咤激励せずに、心療内科の診療を受ける必要があります。ただし、この「慢性疲労症候群(CFS)」という疾患の認知度は、医師の間でもけっして高くなく、適切な対応ができる医療機関が少ないのが実情ですが、大学病院などの大型医療施設では、医療や医師のネットワークが豊富にあることから、民間の医療機関やクリニックよりは信頼性が高まります。

 

まずは、1人で悩まず、最寄りの大型医療施設に受診し、そこで積極的な治療を行っている場合には治療を受けるか、専門医がいない場合にはCFSに精通する専門医を紹介してもらいましょう。

 

また、身体を動かしたり、長い距離を歩いたりして、リラックスと体力アップを心がけることが、この疾患の予防になります。また、旅行などに行って、心身をリフレッシュすることも効果的です。さらに、規則的で栄養バランスのとれた食事を心がけることも重要とされます。もし、あなたが、慢性的に疲労感が抜けずにいて、「自分は生真面目な性格」と自認しているなら、リラックスできるライフスタイルを心がけ、症状の悪化を食い止めてください。