10代の中学生や高校生はまだ体が完全に発達していないため、多くの人が一度は生理不順を経験しているでしょう。多くの場合、乱れた生活によって生理不順が引き起こされますが、中には“病気”が原因となっていることもあります。そのため、「よくあることだ!」と軽く考えてはいけません。

 

今回は、10代の中学生や高校生に起こる生理不順の実態や原因、解消する方法などに、詳しくご紹介しますので、生理不順について悩んでいる方は最後までしっかりお読みください。

 

 

生理周期を理解しよう

 

生理不順の原因を探る前に、まずは生理周期について正しく理解しておきましょう。女性は男性と違い、子供を産む能力を持っています。子宮の内側にある「卵巣」という2つの臓器の中で、後に子供の命となる「卵子」が約1か月に1回のペースで成長・消失を繰り返します。(下図出典:goo

 

生理というのは、

①卵巣の中で卵子が成長する

②卵子が子宮へ移動する

③子宮内で子供を育む準備をする

④不要物を体内から排出する

 

という過程を約1か月(厳密に言うと25~38日で個人差がある)かけて繰り返し行われる活動のことを言います。(下図出典:ソフィ

 

 

①卵巣の中で卵子が成長する

まず、子供を授かるためには「精子」と「卵子」が結びつくことが必要で、女性は生まれつき「卵子」を作り出す働きが備わっています。「卵子」は卵巣の中で約1~2週間かけて成長しながら、精子が来るのを待ち続けます。

 

②卵子が子宮へ移動する

精子との結合の有無に関わらず、卵子は十分に成長すると、子供を宿すための場所(子宮)に向けて移動を始めます。これを「排卵」と言い、卵巣と子宮を繋ぐ約10cmの管(卵管)を約3日かけて移動します。

 

③子宮内で子供を育む準備をする

卵子が子宮(厳密に言うと子宮内膜の壁)に到着すると、約10日~2週間かけて栄養を蓄え、子供を育むための”ベッド”(子宮内膜)が作られます。この時期を「黄体期」と言い、卵子が精子と結合していなくても、この活動は行われます。

 

④不要物を体内から排出する

卵子が精子と出会っていない、または結合していないと、卵子は必要なくなるため消失します。また、子供を育むためのベッド(子宮内膜)も必要なくなりますが、子宮内膜は勝手に消失する機能が備わっていなく、体内では不要物であるため、血液と一緒に体の外へ出されます。この期間を「月経期」と言い、子宮内膜が十分に体外に出されるまで約3日~1週間かかります。

 

このように、女性の体は約1か月かけて、①卵子の成長→②卵子の移動→③ベッド作り→④不要物の排出、という4つの活動を行います。この期間(月経期間)は28日が正常と考えている方が多いのですが、実は25~38日が正常で、人によって月経期間は異なるのです。

 

 

生理が遅れる・来ない原因

 

10代の中学生・高校生の生理不順は、“体が未発達”なことが主な原因です。月経(以降、“生理”とします)には、エストロゲンプロゲステロンと呼ばれるホルモンが大きく関係しており、これらのホルモンの分泌量が少ない、または多い場合に生理のが遅れる・来ないという状況が生じます。

 

通常、ホルモンの分泌量は一定ですが、乱れた生活を送っていたり、痩せていたり、不安や悩みがある状態では、分泌量が変わります。この影響により、卵子の成長が遅れたり、子宮内膜が体外に排出されるのに時間がかかるなど、生理の期間が乱れてくるのです。

 

しかしながら、生活上の問題や心身の問題だけでなく、病気が原因の可能性もあります。「若いから病気じゃないだろう」という考えは間違いで、若くても生理不順を起こす病気になることはあります。まずは、どのようなことが生理不順の原因となっているのか、しっかり把握しておきましょう。

 

①身体的・精神的ストレス

10代の中学生・高校生の女性はストレスを感じやすいものです。勉強や恋愛など、または日常において人からよく見られたいと努力することでストレスはかかります。ストレスを感じることで、ホルモンバランスが乱れ(ホルモンの分泌量が低下する)、卵子の成長が妨げられることで、生理期間が長くなります。

 

②生活習慣の乱れ

偏った食事、睡眠不足、運動不足など、健全とは言えない生活習慣を送り続けることで、ホルモンバランスが乱れ、上述のように卵子の成長が妨げられます。

また、卵子の成長だけでなく、卵子が子宮へ移動する時間、子宮内膜(子供のベッド)を形成する時間が変化します。さらに、経血(生理の血)の量が多くなったり少なくなったりなど、乱れた生活習慣はさまざまなことに影響を与えます。

 

③低体重・肥満(痩せ過ぎ・太り過ぎ)

日本人の理想とされる体重は、「身長(m)×身長(m)×22」で求めることができます。たとえば身長155cmの場合、「1.55×1.55×22」52.855kg(約53kg)となります。少し重すぎると感じかもしれませんが、これが栄養面を考えた上での理想体重です。

この体重から±5㎏が許容範囲で、身長155cmの人であれば、48kg~58kgが標準体重で、48kg以下なら低体重(痩せ過ぎ)、58kg以上なら肥満(太り過ぎ)と診断されます。ダイエットで痩せ過ぎると栄養不足になり、脳の機能が低下してホルモンの分泌量が低下し、太り過ぎるとホルモンの分泌量が増加し卵巣の機能が低下するため、生理不順が引き起こされることがあります。

 

④甲状腺の異常

甲状腺という臓器は、甲状腺ホルモンと呼ばれる生理と関係の深いホルモンを作りますが、何らかの原因で甲状腺に異常をきたし、甲状腺ホルモンの分泌量が変化することでも生理不順になります。

甲状腺の異常で最も多い原因は「ヨード(ヨウ素)」と呼ばれる栄養素の摂取不足です。疲れやすい、イライラしやすい、心臓がドキドキする、血行が悪いなど、体に変化がみられる場合は甲状腺の異常の可能性があります。ヨードを摂取することで改善されることが多々あるため、ヨードが含まれる魚類や海藻類を積極的に摂取しましょう。

 

⑤妊娠の可能性

精子と卵子が結びつくと生理は来ません。もともと生理期間が乱れている人でも受精することは当然あります。また、“安全日”“危険日”などと言われることがありますが、期間に関係なく受精はします。性交をしてから生理が全く来ないという人は妊娠の可能性があります。ただし、「妊娠したかも!?」という不安から、生理不順が引き起こる場合が多いのも事実です。

 

⑥子宮・卵巣の病気

子宮や卵巣に何かしらの病気が発症している場合には、生理が遅れる、または長く来ないということがあります。生理不順を引き起こす主な子宮・卵巣の病気は、「卵巣機能不全」「多のう胞性卵巣」「卵巣のう腫」「子宮筋腫」「子宮内膜症」「子宮内膜ポリープ」「子宮頸管ポリープ」「子宮頸がん」などさまざまあります。

 

このように、生理が遅れる、来ないという生理不順の原因は非常に多いものです。ただし、10代の中学生・高校生は体がまだ未発達であり、外からの刺激を受けやすいため、不安やストレスなど精神的なもの、生活習慣の乱れが原因の大半を占めています。

 

 

生理不順を引き起こす病気

 

上記で軽く触れましたが、生理不順を引き起こすのは卵巣や子宮の病気が原因となる場合があります。

 

「卵巣機能不全」「多のう胞性卵巣」「卵巣のう腫」「子宮筋腫」「子宮内膜症」「子宮内膜ポリープ」「子宮頸管ポリープ」「子宮頸がん」など多くの病気が原因となり、慢性的(長期的)に生理不順が起こっている場合には、病気の可能性を疑わざるを得ません。

 

①卵巣機能不全

何らかの影響で、卵巣の働きが十分でない病気がこれに当たり、不正出血がみられることもあります。ストレスや乱れた食生活、運動不足、痩せ・肥満などが原因に挙げられ、多くの場合、ストレスを取り除いたり乱れた生活を正すことで改善されます。

 

②多のう胞性卵巣

卵巣の中に複数の卵胞(卵子の元)ができて、排卵が起こりにくくなる病気です。多のう胞性卵巣の原因は未だハッキリしていませんが、心身の変化によりLH(黄体化ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)と呼ばれる2つのホルモンの分泌量のバランスが乱れることが主な原因とされています。

生理不順だけでなく無月経や、経血(生理の血)が多くなるなどの症状がみられ、多のう胞性卵巣の治療は主に排卵を促す、排卵誘発剤を用いて改善を図ります。

 

③卵巣のう腫

卵巣の中に良性の腫瘍ができる病気です。腫瘍が小さいうちは、生理不順の程度は小さく気づきにくいため注意が必要な病気です。腫瘍が大きくなると、生理不順の程度が大きくなり、場合にはよっては激しい生理痛・腹痛の症状がみられます。卵巣のう腫の治療は、ピルや黄体ホルモン剤の投与、または手術による摘出(取り除く)を必要とします

 

④子宮筋腫

子宮の筋肉や粘膜の下に良性のコブができる病気で、大小にかかわらず女性の4人に1人が子宮筋腫を持っています。激しい生理痛、経血(生理の血)、地の塊が混じるなどの症状がみられれば子宮筋腫の可能性があります。

良性であるため特に心配する必要はありませんが、ひどい貧血を起こし生活に支障をきたすことがあるため、治療を行うことが勧められています。筋腫が小さければ薬を用いて改善を図りますが、大きければ(約5cm以上)であれば摘出手術を行います。

 

⑤子宮内膜症

子供のベッドとなる子宮内膜が子宮の内部ではなく、他の場所にできる病気が子宮内膜症です。多くはホルモンの影響でさまざまな場所に子宮内膜が形成されます。

生理痛、腰痛、下腹部痛、排便痛、性交痛など、痛みが症状として表れるため、生活に支障をきたす場合には治療することをお勧めします。子宮内膜症の治療は、痛みに対して鎮痛剤、病気に対してピルを用いて改善を図ります。

 

⑥子宮内膜ポリープ

子宮の内膜にポリープと呼ばれる腫瘍がある病気です。生理と関係の深いエストロゲンと呼ばれるホルモンが過剰に分泌されることで腫瘍が形成され、症状は程度の低い生理不順のみと発見の難しい病気です。子宮内膜ポリープの治療には摘出手術が行われます。

 

⑦子宮頸管ポリープ

子宮の入り口のあたる子宮頸管と呼ばれる部分に腫瘍ができる病気です。多くは、生理不順と不正出血の症状がみられ、痛みは伴いません。主に細菌による炎症やホルモンバランスの乱れが原因とされていますが、未だ完全な原因は解明されていません。子宮頸管ポリープの治療には摘出手術が行われます。

 

⑧悪性腫瘍(がん)

子宮がん、子宮頸がん、卵巣がんなど、生理と関係の深い臓器に悪性の腫瘍(がん)がある場合にも生理不順または無月経が引き起こされます。また、不正出血やおりものの量の増加・悪臭など、さまざまな症状がみられます。早期の場合であれば、摘出手術や放射線療法で治療を行うことで、再発の可能性はありますが、ほとんどが完治に向かいます。

 

これらの病気のほとんどは、20代以降の女性(特に30代~50代)に発症しやすいものの、10代の中学生・高校生でも発症することがあります。特に、慢性的(長期的)に生理不順が起こるとともに、経血(生理の血)が多くなった、生理痛がひどくなった、おりものが変(色や固形物など)、不正出血がみられる場合は、いずれかの病気を発症している可能性があります。

 

 

生理不順の改善するためにすべきこと

 

病気が原因である場合もありますが、90%以上はストレスや生活の乱れが原因です。10代の中学生・高校生は心身が未発達で、内外からの影響を受けやすいものです。それにより、ホルモンバランスが乱れて容易に生理不順が引き起こされます。1週間ほど生理が遅れる場合はもちろん、1か月以上来ないという場合でもストレスや生活の乱れが原因です。

 

  • 悩みを抱えている
  • ストレスがある
  • バランスの悪い食事
  • 全く運動していない
  • 睡眠不足・睡眠過多
  • 過度なダイエット

 

これらの項目に2つ以上該当する場合には、ホルモンバランスが崩れている可能性があります。女性性の体は非常に繊細であり、容易にホルモンバランスが崩れてしまうため、まずは出来る限りストレスを取り除き、規則正しい生活スタイルを築くようにしていきましょう。

 

 

慢性的(長期的)に続く場合は受診を

 

何かしらの病気の可能性が原因となっている場合もあるため、生理不順が長く続く場合(普段は正常)は、一度、婦人科に受診しましょう。

 

婦人科での診察

婦人科での診察には、「①問診」「②内診」「③超音波」「④血液検査」など、さまざまあります。「②内診」というのは、膣の中の状態を医師が指で確認する診察のことです。「③超音波」は、特殊な機械を用いてお腹の上から子宮や卵巣の状態を確認する診察のことです。

 

10代の中学生・高校生は特に、恥ずかしいという気持ちから受診しない人が多いのですが、どうしても“医師に見られるのが嫌!”、“触れられるのが嫌!”という方は、内診を断ることができます。その場合には、問診や超音波など、内診以外の診察に配慮してくれます。それでも不安であれば、お母さんと一緒に受診しましょう。また、女性医師のいる婦人科に行くのも一つの手です。

 

処方されるもの

病気が原因で生理不順が引き起こされることもありますが、多くはストレスや乱れた生活習慣によるホルモンバランスの乱れが原因で、病気の多くもホルモンバランスの乱れが影響しているため、まずは経過観察のためにホルモン剤やピルを処方されます。それゆえ、そもそも内診の必要性はほとんどないと言っても過言ではありません。

 

“病気だと分かるのが嫌!”という人でも、病気の多くはそれほど怖いものではなく、ホルモン剤やピルの服用で改善されるため、長期的に生理不順が続く場合は一度受診してください。

 

 

さいごに

 

女性の体は非常に繊細で、特に10代の中学生・高校生は心身に変化が起きやすく、ほとんどの方が少なくても一度は生理不順を経験しています。ストレスがかからないようにする、理想の生活をする、というのは現代社会において不可能に近いため、生理不順が起きたからと言って、あまり心配する必要はありません。

 

ただし、生理不順は健康のバロメーターとしても受け取れ、生理不順が起きていると何かしら健康に害が及んでいるという証でもあります。まずは、心身ともに健康でいられるよう、ストレスを感じる時は友達と遊ぶ、過度なダイエットをやめる、栄養の良い食事を摂る、よく寝るなど、生活習慣の改善に取り組んでいってください。

 

なお、特に10代の中学生や高校生の若い女性は、過度なダイエットが生理不順に強く影響しています。ダイエットの理想は「1か月で現体重の5%」ですので、急激に体重を落とそうとしている方は要注意です。詳しくは以下のページをお読みください。